バイクにABSの後付けはいらない?費用とリスクから見る不要の理由

バイクにABSの後付けはいらない?ガレージに佇むレトロなカワサキバイクと「愛車の安全性を高めたい…その選択、本当に賢明ですか?」というタイトルスライド

こんにちは。高級モトクラブ、運営者の「A」です。

愛車の安全性をもっと高めたいと考えたとき、ABSの導入を検討するのはライダーとして素晴らしい心がけだと思います。

しかしネットで情報を探していると、バイクのABSは後付けがいらないという意見や、義務化がいつから始まったのか、車検に通らなくなるリスクはあるのかといった様々な情報が出てきて混乱してしまいますよね。

特に古いバイクを大切に乗っている方にとって、高額な費用をかけてキットを導入すべきか、それとも無しで乗り続けるべきかは大きな悩みどころでしょう。

今回はそんな疑問に対して、個人的な経験や調べた情報を整理してお話しします。

本記事のポイント
  • ABSの後付けにかかる現実的な費用と車両価値のバランス
  • 法的な義務化の適用範囲と既存バイクへの影響
  • 後付けシステムが抱える技術的なリスクと危険性
  • 安全に乗り続けるための代替案とメンテナンスの重要性
目次

制度と費用でバイクへABSの後付けはいらない理由

まずは、なぜ多くのライダーや専門的な視点を持つ人々が「後付けは不要」と判断するのか、その背景にある制度やコストの問題から紐解いていきましょう。法律の仕組みや懐事情を冷静に見つめ直すと、無理に装着する必要がないことが見えてくるはずです。

バイクにABSの後付けはいらない?ABS後付けを推奨しない理由として挙げられる「費用・法律・技術」の3つの要素を示すアイコン
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ABSの仕組みと種類を解説

ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)について、「急ブレーキでタイヤがロックしないようにする装置」という程度の認識の方も多いかと思いますが、後付けの難易度を理解するためには、その裏側にある複雑怪奇なメカニズムを知っておく必要があります。これは単なる機械的な補助装置ではなく、高度な演算処理を行うコンピューターシステムそのものなんですね。

バイクにABSの後付けはいらない?ホイールスピードセンサー、ECU、ハイドロユニットで構成されるABSの複雑な電子制御システムの仕組み
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ABSの基本的なシステム構成は、主に以下の3つのコンポーネントで成り立っています。

  • ホイールスピードセンサー
    タイヤの回転速度をリアルタイムで検知する「目」の役割。
  • ECU(制御ユニット)
    センサーからの情報と車体速度を比較し、スリップ率を計算してブレーキ圧の増減を指示する「頭脳」。
  • ハイドロユニット(モジュレーター)
    ECUからの電気信号を受けて、物理的にブレーキフルードの通路を開閉し、油圧を調整する「心臓部」。

ライダーがブレーキレバーを強く握り込み、タイヤがロックしそうになった瞬間、センサーが「回転が止まりそうだ」と検知します。するとECUが「油圧を抜け!」と指令を出し、ハイドロユニット内のバルブが一瞬開き、キャリパーにかかる圧力を逃がします。

そしてタイヤが再び回転し始めると、即座に「油圧を戻せ!」と指令し、ブレーキを効かせます。この「減圧→保持→増圧」というサイクルを、1秒間に数十回という猛烈なスピードで繰り返しているのがABSの正体です。

さらに、ABSにはいくつかの種類が存在します。

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種類特徴主な搭載車種
1チャンネルABS前輪のみを制御する簡易型。
コストが安く軽量。
125cc~250ccクラスの
スクーターや小排気量車
2チャンネルABS前後輪を独立して
制御する標準的なタイプ。
400cc以上の中型~大型バイク全般
コーナリングABSIMU(慣性計測装置)と連携し、
バンク角に応じて制御を最適化。
最新のスーパースポーツや
高級アドベンチャー

特に最近の「コーナリングABS」などは、車体がどれくらい傾いているか、加速しているか減速しているかという6軸の動きまで計算に入れています。

後付けで何かを取り付けようとした場合、これら全てのセンサーを後付けし、かつその車両固有の運動性能に合わせてプログラミングし直すというのは、メーカーの開発部門レベルの設備がない限り、物理的に不可能な領域なんです。「仕組みを知れば知るほど、後付けなんて軽々しく言えない」というのが、正直なところですね。

ABS装着車の見分け方

これから中古車を購入しようとしている方や、知人のバイクを見て「これってABS付いてるの?」と疑問に思った際、どこを見れば確実に判別できるのか。その見分け方を詳しく解説します。車検証の備考欄を見るのも一つの手ですが、実車を見て一発で判断できるスキルを身につけておきましょう。

最も確実なチェックポイントは、ホイールの中心部分(ハブ)付近です。

ブレーキディスクの内側、ちょうどホイールの回転軸に近いところに、「スリット(溝)がたくさん入った金属のリング」が付いていませんか? これは「パルサーリング(またはトーンリング、センサーローター)」と呼ばれる部品です。見た目はまるで、調理用のスライサーやおろし金のような形状をしています。

そして、そのリングのすぐ近く(数ミリの隙間)に、黒い配線がつながった小さなセンサーが固定されていれば、それは間違いなくABS装着車です。このセンサーがリングのスリットを読み取ることで、タイヤの回転数を計測しているわけです。

注意点

一部の古いBMWなどの輸入車では、リングの形状が異なり、ブレーキディスク自体にギザギザが刻まれているタイプもありますが、基本的には「センサーと回転するギザギザ」のセットを探せばOKです。

また、運転席周り(コクピット)でも確認できます。イグニッションキーを「ON」にした瞬間、メーターパネル内に「ABS」という文字の黄色や赤色の警告灯が点灯するかどうかを見てください。正常なABS車であれば、キーONで点灯し、エンジンをかけて走り出す(時速5km〜10km程度を超える)と消灯します。もしキーONでも点灯しなければ非装着車、あるいは球切れの可能性があります。

この「パルサーリングとセンサー」の存在が、後付けを困難にしている大きな要因の一つでもあります。元々ABSが無いバイクには、このセンサーを取り付けるためのネジ穴(ボス)もなければ、パルサーリングを固定するスペースもホイール側に用意されていません。

後付けしようとすれば、フロントフォークのボトムケースに穴を開けてネジを切ったり、ホイールカラーを作り直したりといった、重要保安部品への大掛かりな加工が必要になります。これは強度不足を招く恐れがあり、非常にリスクが高い行為と言わざるを得ません。

義務化は前輪のみ等のルール

「バイク abs 後付け いらない」と検索される方の多くが気にされているのが、「法律で義務化されたって聞いたけど、自分の古いバイクも違法になるの?」という法的リスクではないでしょうか。ここでは、国土交通省が定めたABS義務化のルールと適用時期について、誤解のないようにしっかりと整理してお伝えします。

まず結論から申し上げますと、「現在すでにナンバーを取得して走っているバイク(使用過程車)」に対して、後からABSを取り付ける法的義務は一切ありません。 日本の法制度には「法の不遡及(ふそきゅう)」という大原則があり、新しい規制ができても、それ以前に製造・登録された車両には適用されないのです。

義務化のスケジュールは以下の通り段階的に実施されました。

  • 新型車(ニューモデル)
    2018年(平成30年)10月1日以降に新たに型式認定を受ける車両から義務化。
  • 継続生産車
    2021年(令和3年)10月1日以降に生産される車両から義務化。

つまり、2021年9月以前に製造されたモデルであれば、新車でABSが付いていなくても合法ですし、それを今中古で購入して乗っても何ら問題はありません。警察に止められることも、車検に通らなくなることもないのです。

バイクにABSの後付けはいらない?2021年10月以前のバイクにはABS装着義務がなく、車検も問題ないことを示す解説スライド
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さらに、全てのバイクにフルスペックのABSが求められているわけではありません。排気量や車種によって以下のような例外や緩和規定が設けられています。

原付二種(50cc超~125cc以下)の特例

このクラスは車体が軽く速度域も比較的低いため、ABSの代わりに「CBS(コンビインド・ブレーキ・システム/前後連動ブレーキ)」の装備でも基準を満たすとされています。CBSは、片方のブレーキ操作で前後輪に適切な制動力を配分するシステムで、ABSより安価で構造もシンプルです。

もし「この機会に買い替えもアリかな?」と感じた方は、125ccスクーターの新車で安いランキング!最強コスパ決定版で、現在の相場をチェックしてみることをおすすめします。

オフロード競技車の例外

エンデューロマシンやトライアル車など、公道を走るための保安部品を備えていても、競技利用を主目的とする特定の要件を満たす車両については、ABS装備義務の対象外となるケースがあります。

このように、法律はあくまで「メーカーがこれから作るバイク」に対する規制であって、ライダー個人に対して「今すぐABSを付けろ」と命令するものではありません。

出典:国土交通省『二輪車へのABS(アンチロックブレーキシステム)等の装備義務付け』

したがって、「法律のために後付けしなきゃ」という焦りは全くの不要です。むしろ、無理な改造をして保安基準(ブレーキの安全性など)を満たせなくなる方が、法的には問題視される可能性が高いでしょう。

後付けキットの費用は高額

「技術的に難しいのはわかったけど、お金さえ出せばなんとかなるんじゃない?」と考える方もいるかもしれません。しかし、実際に後付けにかかる費用をシミュレーションしてみると、その金額はあまりに非現実的で、経済合理性が完全に破綻していることがわかります。

仮に、同型車種の上位グレードにABS仕様があり、その純正部品を全て新品で取り寄せて移植すると仮定しましょう。ざっと見積もっても以下のような恐ろしい金額になります。

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部品名概算価格(新品)役割・備考
ABSモジュレーター
(ハイドロユニット)
80,000円 ~ 150,000円システムの心臓部。
最も高額な部品。
メインハーネス
&サブハーネス
30,000円 ~ 50,000円ABS用の配線が含まれた
全体配線への交換が必要。
前後ホイール
スピードセンサー
20,000円 ~ 40,000円精密部品のため高価。
前後で2つ必要。
パルサーリング
&取付ボルト
10,000円 ~ 20,000円ホイールハブへの
加工が必要な場合も。
ブレーキホース一式30,000円 ~ 50,000円ユニットを経由するため
非常に長い専用品が必要。
ABS対応ECU40,000円 ~ 80,000円モジュレーターと別体の場合。
部品代合計約 21万円 ~ 39万円※工賃含まず

これに加えて、取り付け工賃が発生します。ABSの後付けは、単なるパーツ交換ではありません。

バイクをほぼ骨組みの状態まで分解し、メインハーネス(血管や神経にあたる配線)を全て入れ替え、ブレーキラインをゼロから引き直すという、レストアに近い大手術になります。熟練のメカニックが数日がかりで行う作業となるため、工賃だけでも10万円~15万円以上は請求されるでしょう。

つまり、総額で30万円~50万円以上かかる計算になります。

バイクにABSの後付けはいらない?ABS後付けには総額30万〜50万円以上かかり、中古部品は危険であるという費用対効果の警告

今お乗りのバイクの中古相場はいくらでしょうか? 多くの250cc~400ccクラスの中古車であれば、車両本体価格よりも改造費の方が高くなってしまう「逆転現象」が起きてしまいます。

中古部品のリスク

「ヤフオクなどで中古のABSユニットを数千円で買えば安く済む」と考えるのは極めて危険です。ブレーキフルードは吸湿性があるため、外されて放置されたユニット内部は錆びついている可能性が高く、取り付けた瞬間にブレーキが固着したり、全く効かなくなったりするトラブルの元です。

この金額を出すなら、最初からABSが装備されている高年式の極上中古車に買い替える方が、はるかに安上がりで、かつメーカー保証の効く安全なバイクが手に入ります。経済的な観点から見れば、後付けは「道楽」の域を超えており、全くおすすめできない選択肢なのです。

ABS無しのメリットとデメリット

ここまではABSの後付けのネガティブな面ばかり強調してきましたが、視点を変えて「ABSが無いバイク(非ABS車)」の価値について再評価してみましょう。実は、ベテランライダーや機械いじりが好きな層の間では、あえて非ABS車を好む傾向もあります。

【ABS無しのメリット】
  • メンテナンス性が抜群に良い:
    構造がシンプルなので、ブレーキフルードの交換やエア抜きが非常に簡単です。DIYで整備を楽しみたい人にとっては、ブラックボックス(ABSユニット)がないことは大きな利点です。
  • ダイレクトな操作感:
    マスターシリンダーからキャリパーまでホースが直結されているため、指先の入力がそのままパッドに伝わります。ABS特有の長いホースやユニット内のバルブを経由しない分、スポンジ感(あそび)が少なく、「カチッ」としたブレーキタッチが得られます。
  • 軽量化:
    ABSユニットや配管一式で数キログラムの重量があります。スポーツ走行において、この数キロの軽量化は運動性能に大きく寄与します。
  • 修理コストが安い:
    万が一ブレーキ周りが故障しても、キャリパーやマスターシリンダーのシール交換(オーバーホール)だけで済み、数千円~数万円で完治します。数十万円のユニット交換リスクがありません。
【ABS無しのデメリット】
  • パニック時の転倒リスク:
    飛び出しなどの緊急時に、反射的にブレーキを握りしめるとタイヤがロックし、「握りゴケ」をする可能性が高まります。これを防ぐには人間の技術が必要です。
  • ウェット路面での緊張感:
    雨の日やマンホールの上など、摩擦係数が低い路面では、ロック限界が極端に低くなるため、非常に繊細なレバー操作が求められます。

私自身の経験で言えば、サーキット走行や晴れた日のツーリングを楽しむ分には、ABS無しのダイレクトなタッチの方が「バイクを操っている」という実感が湧いて楽しいと感じることさえあります。「バイク abs 後付け いらない」という結論に至る人の多くは、コストの問題だけでなく、こうした「アナログな機械としての魅力」を非ABS車に見出しているのかもしれません。

初心者にABSなしは危険か

免許を取り立ての初心者の方や、リターンライダーの方からよく聞かれるのが、「初心者は絶対にABS付きじゃないと死にますか?」という質問です。ネット上では「ABS無しは殺人マシン」のように極端に言われることもありますが、私はそこまで悲観する必要はないと考えています。

もちろん、ABSがあった方が物理的な安全性は高いです。それは間違いありません。しかし、「ABSが無いから乗ってはいけない」ということにはなりません。重要なのは、ABSが無いことを前提とした運転スキルと意識を持つことです。

ABSはあくまで「最後の命綱」です。作動するということは、すでにタイヤのグリップ限界を超えている、つまり「失敗した状態」であることを意味します。

初心者のうちからABSに頼りきった運転(ガツンと握れば止まれるという誤った認識)をしてしまうと、路面の状況を読む力や、タイヤの限界を感じ取る繊細な感覚が育ちにくくなるという弊害もあります。

ABS無しのバイクに乗る場合、以下のことを意識すればリスクは大幅に低減できます。

  1. 車間距離を通常の1.5倍~2倍取る:
    急ブレーキをかける必要がない状況を自ら作る「防衛運転」です。
  2. 「カックン」ではなく「ジワーッ」と握る:
    サスペンションを沈ませてタイヤを地面に押し付けてから、制動力を立ち上げる基本操作を徹底します。
  3. 予算を装備に回す:
    ABSの後付けに30万円かけるくらいなら、そのお金で最新のハイグリップタイヤや、プロテクター入りのウェア、そして安全運転講習会(ライディングスクール)への参加費に充ててください。
結論

ABS無しのバイクでも、ライダーの心がけ次第で十分に安全に楽しめます。ただし、「どうしても不安で夜も眠れない」というレベルであれば、精神衛生上良くないので、最初からABS付きの新しいバイク(例えばホンダのCB400SF Revo以降など)を選ぶことを強くおすすめします。安心感をお金で買うなら、車両買い替えが正解です。

技術とリスクでバイクにABSの後付けはいらない結論

前半では制度やコストの面から「いらない」理由を解説しましたが、ここからはさらに踏み込んで、技術的な観点から「後付けすること自体の危険性」について深掘りしていきます。中途半端な知識での後付けは、ブレーキという最重要保安部品を「凶器」に変えてしまう可能性があるのです。

バイクにABSの後付けはいらない?誤作動、エア噛み、車検不適合など、車種ごとに最適化されていないABSが引き起こす致命的なリスク一覧
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後付けABSは誤作動で危ない

「汎用ABSキット」といった商品が海外通販などで見かけられることがありますが、これらを使用することの最大のリスクは「誤作動」です。ABSの制御プログラム(アルゴリズム)は、単純にタイヤが止まったらブレーキを緩めるだけではありません。その車両固有の物理パラメータに合わせて、極めて繊細なチューニングが施されています。

メーカー純正ABSの開発では、以下のような要素を徹底的にテストしています。

  • ホイールベース(軸間距離):
    制動時の前のめりになる力(ピッチングモーメント)に影響します。
  • 重心位置と車重:
    タイヤにかかる荷重移動のスピードと量を決定します。
  • サスペンションの特性:
    ノーズダイブ(フロントが沈む動き)の速さや、路面追従性。
  • タイヤの外径と特性:
    回転数の計算基準となります。

もし、車重の重いツアラー用のABSユニットを、車重の軽いスポーツバイクに後付けしたらどうなるでしょうか?

軽いブレーキ操作でも、ECUは「重い車体が急減速している=ロック寸前だ!」と勘違いし、必要な制動力が出ていないのに勝手にブレーキを緩めてしまう(減圧モードに入る)可能性があります。これでは「止まりたいのに止まらない」という恐怖体験をすることになります。

逆に、段差を乗り越えた際の一瞬の車輪速変化を「ロック」と誤認し、コーナーの入り口などで意図しないタイミングでABSが介入すれば、バランスを崩して転倒に繋がります。メーカーは何千キロ、何万キロという実走テストを経てこれらのバグを潰していますが、個人の後付けではそれが不可能です。自分の命を乗せてデバッグ作業を行うようなもので、あまりにリスクが高すぎます。

純正ABSに助かった声との違い

SNSやブログで「ABSのおかげで命拾いした」「砂利道で転ばずに済んだ」という体験談を目にすると、どうしてもABSが欲しくなる気持ちは痛いほど分かります。しかし、ここで冷静に区別しなければならないのは、それらの称賛の声はすべて「メーカー純正装着の最適化されたABS」に対するものだという点です。

バイクにABSの後付けはいらない?100%の信頼性を持つメーカー純正ABSと、不確実なギャンブルである後付けシステムを比較した図解
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純正ABSは、そのバイクのために専用設計され、あらゆるシチュエーションで正常に作動することが保証されています。一方で、後付けのシステムは「動くかもしれないし、動かないかもしれない」というレベルの代物です。

例えば、市販の「ABSもどき」のようなパーツ(キャリパーのバンジョーボルトに挟むだけの減圧バルブなど)も存在しますが、これらは電子制御を行わない単なる「油圧リミッター」であり、本当の意味でのABSとは似て非なるものです。制動力を意図的に落とすだけで、制動距離が伸びるだけのケースが大半です。

「ABSに助かった」という結果を得るためには、システムが100%信頼できることが大前提です。信頼性が担保されない後付けシステムでは、いざという極限状態でライダーを助けてくれる保証はどこにもありません。「純正の安心感」と「後付けの不確実性」は、全く別の話であることを肝に銘じておくべきでしょう。

エア抜きの困難さやエア噛みの症状

次は、実際に後付け作業を行った後や、その後のメンテナンスで直面するであろう、メカニカルな悪夢についてお話しします。それが「エア抜き」の困難さです。

通常の非ABS車であれば、ブレーキフルードの交換やエア抜きは、レバーをニギニギしてブリーダープラグを緩めるだけの比較的単純な作業です。しかし、ABSユニットを介在させると、話は一変します。ABSモジュレーターの内部は、非常に細い通路や多数の電磁弁(ソレノイドバルブ)が迷路のように入り組んでいます。

一度システムを分解してフルードを全交換するような後付け作業を行うと、この迷路の隅々に気泡(エア)が入り込みます。この気泡は、通常の「レバーを握って出す」方法では、物理的に押し出すことが不可能な場所に滞留しやすいのです。

エア噛みによる症状

エアが抜けきらないまま走行すると、以下のような「エア噛み」の症状が出ます。

  • スポンジタッチ:
    レバーを握っても「グニャッ」として奥まで握り込めてしまい、カチッとした手応えがない。
  • ベーパーロックの誘発:
    残った気泡が熱膨張し、突然ブレーキが効かなくなる。
  • ABS作動時の油圧喪失:
    いざABSが作動してポンプが回った瞬間、隠れていたエアが通路に流れ出し、制動力が一瞬でゼロになる。

現代のABS車の整備マニュアルには、「エア抜きには専用の診断機(OBDツールなど)を接続し、ABSモーターを強制駆動させながら行うこと」と記載されているのが一般的です。個人でそのような高価な機材を持っている人は稀でしょう。

つまり、後付けしたはいいが、まともにブレーキとしての機能を維持するためのメンテナンスが、個人レベルでは不可能になるということです。ショップに持ち込んでも、「改造車のABS整備はお断り」と門前払いを食らう可能性も高いです。

ABSランプが消えない点滅問題

後付けABSにおける最後の壁、それが電気的なトラブル、特に警告灯(インジケーター)の問題です。ABSシステムは、常に自己診断を行っています。センサーからの信号波形にノイズが乗ったり、電源電圧が不安定だったりすると、すぐにシステムエラーと判断し、機能を停止して警告灯を点灯させます。

後付けの場合、メインハーネスを自作・加工することが多いため、以下のようなトラブルが頻発します。

  • 電圧不足によるエラー:
    ブレーキランプやヘッドライトと電源を共有した結果、ブレーキを握った瞬間に電圧降下が起き、ABSユニットがダウンする。
  • センサーノイズ:
    プラグコードやジェネレーターからの磁気ノイズをセンサー配線が拾ってしまい、走行中に警告灯がチカチカ点滅する。

そして最大の問題は「車検」です。現在の車検制度では、メーター内の警告灯の動作確認が厳格化されています。「イグニッションONで点灯し、エンジン始動または走行後に消灯する」という正規の動作をしない限り、検査官はハンコを押してくれません。警告灯がつきっぱなし、あるいは最初から点灯しない状態では、車検不適合となり公道を走ることができなくなります。

もし古いバイクの純正ABSを流用した場合、そのユニットが故障したらどうなるでしょうか? すでに部品が廃盤(生産終了)になっていれば、修理は不可能です。直せないABSが付いているだけで車検に通らないため、そのバイクは事実上の「廃車」決定となります。後付けをするということは、将来的にこのような「修理不能による廃車リスク」を自ら背負い込むことと同義なのです。

バイクにABSの後付けはいらないが必要な対策

バイクにABSの後付けはいらない?「では、どうすれば愛車の安全性を本当に高められるのか?」という、次の解決策セクションへ繋ぐための問いかけスライド
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長くなりましたが、結論をまとめましょう。技術的、法的、経済的、そして何より安全性の観点から、既存のバイクへのABSの後付けは「百害あって一利なし」であり、全くおすすめできません。「バイクにABSの後付けはいらない」という検索結果は、多くの先人たちの失敗と経験に基づいた正しい真理なのです。

では、ABS無しの愛車とこれからも安全に付き合っていくためには、どのような対策が必要なのでしょうか。最後に具体的なアクションプランを提示します。

バイクにABSの後付けはいらない?ABS後付けの代わりに推奨される、タイヤへの投資、ブレーキ整備、ライディング技術向上という3つの安全対策
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1. タイヤへの投資を惜しまない

ABSは「滑ってから」助けてくれる装置ですが、高性能なタイヤは「滑る限界」そのものを高めてくれます。ツーリングタイヤでも最新のモデル(例えばミシュランのROADシリーズやブリヂストンのT32など)は、ウェットグリップ性能が飛躍的に向上しています。ABSの後付けの予算の10分の1で、制動距離を確実に短縮できます。

2. ブレーキシステムのオーバーホール

古いバイクの場合、ブレーキキャリパーのピストンが汚れて動きが悪くなっていたり、ホースが劣化して膨張していたりすることがあります。これらをリフレッシュ(清掃、シール交換、ステンレスメッシュホースへの交換など)することで、コントロール性が向上し、ロックの予兆を感じ取りやすくなります。

3. ライディングスキルのアップデート

「パニックブレーキ」を起こさないための予知運転(「かもしれない運転」)を徹底しましょう。また、安全な場所やスクールで、自分のバイクがどれくらいでロックするのか、ロックした時にどう挙動するのかを体験しておくことも重要です。恐怖心を取り除き、冷静に対処できるスキルは一生モノの財産になります。

愛着のある今のバイクを大切に乗り続けるなら、その特性(ABSが無いこと)を理解し、整備と技術でカバーする。もしどうしても最新の安全性能が必要な環境(毎日の雨天通勤など)なら、潔くABS標準装備の現代的なバイクへの乗り換えを検討する。

これが、賢いライダーであるあなたにとっての最適解だと私は確信しています。無理な改造はせず、安全で楽しいバイクライフを続けてくださいね。

バイクにABSの後付けはいらない?無理な改造ではなく、整備と技術で安全なバイクライフを送ることを推奨する「賢者の選択」の結びのメッセージ
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運用者プロフィール

バイク歴10年。 愛車はハーレー。「カタログよりもリアルな情報を」をモットーに、維持費の実態から故障トラブル、カスタムの楽しみ方まで、オーナーの実体験に基づいたノウハウを発信しています。 初心者の方が後悔しないバイクライフを送れるよう、全力でサポートします!

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