こんにちは。高級モトクラブ、運営者の「A」です。
みなさんもご存知の通り、ついに待望のS1000RRの2025年モデルに関する情報が解禁されましたね。
今回の新型は欧州での発表直後から大きな話題を呼んでいましたが、日本国内での発売日や価格がついに確定しました。スペックの変更点や馬力はもちろんのこと、予約状況や納車時期についても気になっている方が多いのではないでしょうか。
特にヤマハのYZF-R1が公道モデルから撤退するという衝撃的なニュースのあとだけに、このマシンの存在価値は今まで以上に高まっていると言えます。国産リッターSSの選択肢が狭まる中で、「最後の砦」とも言える並列4気筒エンジンを搭載したこのマシンの動向は、我々ライダーにとって死活問題です。
今回は私自身の視点と熱量を込めて、このマシンの魅力を余すところなく、そして徹底的に深掘りしてお伝えしていきます。
- 2025年モデルの具体的な発売日と日本仕様の価格設定について
- 大型化したウイングレットやハイスロットルなど走りを変える新装備の詳細
- R1やパニガーレV4などライバル不在の中で際立つS1000RRの価値
- 新車購入と中古車市場の動向を踏まえた賢い選び方のヒント
S1000RRの2025年モデルの進化とスペック
2025年モデルのS1000RRは、一見するとマイナーチェンジ(年次改良)のように思えるかもしれませんが、実は中身の進化が凄まじいことになっています。
「ユーロ5+」というさらに厳しくなった環境規制の壁を乗り越えながらも、パフォーマンスを一切落とさず、むしろサーキットでの戦闘力を高めるための装備が惜しみなく投入されました。ここでは、カタログスペックだけでは見えてこない「実質的な進化」について、私の考察を交えて深掘りしていきます。
待望の新型モデルの発売日

まずは皆さんが一番気になっているであろう発売日からお話しします。日本国内における2025年型S1000RRの発売日は、2025年2月5日です。
この日程を聞いて、「おっ、意外と早いな」と思った方も多いのではないでしょうか。例年、海外での発表から日本導入まで半年近く待たされることも珍しくない輸入車業界ですが、今回は春のバイクシーズン開幕にバッチリ間に合うタイミングでの投入となりました。これはBMWモトラッドジャパンの並々ならぬ気合いを感じますし、日本のライダーを重視してくれている証拠でもありますね。
予約のタイミングと納車事情
「まだ2月だし、寒いから暖かくなってからでいいか」なんて油断していると、痛い目を見るかもしれません。S1000RRのような人気モデル、特に今回のよう大幅なアップデートが入った年は、初期ロット(最初に入荷する車両群)の争奪戦が非常に激しくなる傾向があります。
過去の例を見ても、発売日直後にオーダーを入れたとしても、希望のカラーやオプション構成によっては、納車がゴールデンウィーク明け、最悪の場合は夏前までずれ込む…なんてことも十分にあり得ます。
特に今回は、後述するMパッケージへの注文が集中することが予想されます。もしあなたが「春のツーリングシーズン初日から新型で駆け抜けたい」と考えているなら、発売日を待たずにディーラーへ足を運び、商談の予約を入れておくのが賢明です。
現在お乗りのバイクがある方は、下取り査定などの準備を早めに進めておくと、発売日直後のスムーズな乗り換えが可能になりますよ。特に3月は中古車市場も動く時期なので、早めの行動が高値売却の鍵になります。
日本仕様の価格とラインナップ
次に、購入の最大のハードルとなる価格についてです。原材料費の高騰や円安の影響で、輸入車の価格は右肩上がりですが、BMWは今回、かなり戦略的な価格設定をしてきた印象です。日本仕様のメーカー希望小売価格は、268万8,000円からとなっています。
「高い!」と感じるか、「安い!」と感じるかは人それぞれですが、内容を精査すると私は後者だと感じています。ラインナップは主に以下の3つの構成になると予想されます。

| グレード | カラー・特徴 | 私の見解 |
|---|---|---|
| スタンダード | ブラック・ストーム・メタリック 精悍な黒一色のボディ。基本性能は 上位モデルと同等の最強クラス。 | カスタムベースにして自分色に染めたい方に最適。 鍛造ホイールなどを後から入れたい派は、 初期投資を抑えられるこのモデルがベストチョイスです。 |
| スポーツ | ブルーストーン・メタリック 2025年の新色。マットな質感が特徴で、 非常に上品かつ都会的な仕上がり。 | 「サーキットよりも公道メイン」という 大人のライダーにおすすめ。街中でも悪目立ちせず、 高級スーツのような洗練された雰囲気を醸し出せます。 |
| Mパッケージ | ライト・ホワイト / Mモータースポーツ 伝統のトリコロールカラー。 MカーボンホイールやMシートを標準装備。 | 最も人気が出るグレード。リセールバリューまで考えると、 実は一番コスパが良いかもしれません。 迷ったらこれを選べば間違いありません。 |
ライバル車との価格比較で見える「お得感」

268万円〜という価格のバリューを測るために、ライバル車と比較してみましょう。例えば、イタリアの雄であるドゥカティ・パニガーレV4 Sの新型は、為替の影響もあり350万円を優に超えてくる状況です。また、ホンダのCBR1000RR-R FIREBLADE SPも280万円オーバーの価格帯です。
そう考えると、最先端の電子制御、210馬力のエンジン、そして「BMW」というブランドバリューを全て手に入れて200万円台後半というのは、間違いなく「バーゲンプライス」と言えるでしょう。特にMパッケージを選んだ場合、標準でカーボンホイール(単体で買うと数十万円します!)が付いてくることを考えると、そのコストパフォーマンスの高さには驚かされます。
M1000RR ウイングレットの効果

2025年モデル最大の外見上の変化、そして議論の的となっているのが、あの「巨大化したウイングレット」です。これについては「昆虫みたいで好みが分かれる」という声も聞かれますが、私はこれを純粋な「機能美」として肯定的に捉えています。
ダウンフォース量の劇的な向上
この新しい空力パッケージは、単なる飾りではありません。兄貴分であるM1000RR(2023年モデル以降)のエアロダイナミクス技術が直結しています。BMWの公式発表によると、時速300km走行時のダウンフォース量は、従来モデルの約17kgから約23kgへと大幅に増大しているそうです。(出典:BMW Motorrad Japan S1000RR 製品情報)
「いやいや、公道で300km/hも出さないよ」という声も聞こえてきそうですが、ダウンフォースの効果はサーキットのストレートエンドだけで発揮されるものではありません。
100km/h程度の高速道路巡航時であっても、フロントタイヤを路面に押し付ける力は確実に働いており、横風に対する安定性や、レーンチェンジ時のしっとりとした接地感として体感できるものです。
- 加速時の安定感:
フル加速時にフロントタイヤが浮きにくくなる(ウィリー抑制)ため、恐怖心が減り、アクセルをより長く開けていられます。 - 電子制御の介入減:
フロントが浮かなければトラクションコントロールによるパワーカットが減るため、エンジンパワーを無駄なく推進力に変えられます。 - コーナーリング:
高速コーナーへの進入時、フロントタイヤが路面に食いつく感覚が増し、絶大な安心感につながります。
何より、この「M1000RR譲りの迫力ある見た目」が、オーナーの所有欲を強烈に満たしてくれることは間違いありません。ガレージに停まっている姿を見るだけで、「俺のマシンは本気だぞ」と語りかけてくるような凄みがあります。
BMW M1000RR(K66)由来の技術

目立つウイングレットだけでなく、実はカウルの中や操作系といった「見えない部分」にも、M1000RR(開発コードK66等に関連する技術系譜)からのフィードバックが惜しみなく投入されています。私が特に「これはズルい!」と唸ってしまった進化点を2つ紹介します。
1. Mブレーキダクトの標準装備化
フロントフェンダーのデザインが一新され、ブレーキキャリパーへ走行風を直接導く「ブレーキダクト」が一体化されました。これは従来、M1000RRだけの特権だった装備です。
サーキット走行などのハードなブレーキングを繰り返す場面では、キャリパーの温度管理が命取りになります。ブレーキフルードが沸騰するベーパーロック現象を防ぎ、常にカチッとしたブレーキタッチを維持するためには、冷却が不可欠なのです。
公道ではそこまで追い込むことはないかもしれませんが、「機能部品が備わっている」という事実が、マシンの信頼性とルックスを格段に引き上げています。
2. Mクイック・アクション・スロットル(ハイスロ)の採用
これは地味な変更に見えて、実はライダーにとって「革命的」なアップデートです。スロットルグリップの回転角が、従来の72度から58度に変更されました。つまり、これまでよりも少ない手首のひねり量で、全開(フルスロットル)にできるようになったのです。
今までサーキット派のユーザーは、高価な社外品(Alpha RacingやDominoなど)のハイスロキットをわざわざ取り付けていましたが、それが純正標準で採用された形です。
これにより、コーナーの立ち上がりで手首を握り直す必要がなくなり、よりスムーズかつ瞬時にパワーを引き出せます。公道においても、高速道路の合流や追い越し加速の際、手首への負担が減り、操作が驚くほど楽になるはずです。
実用的な燃費と維持費
210馬力のスーパーバイクに燃費を求めるのは野暮かもしれませんが、長く付き合う相棒なら無視できない現実的なポイントですよね。結論から言うと、S1000RRは「化け物のようなパワー」と「実用的な燃費」を両立している稀有なバイクです。
ShiftCamテクノロジーの恩恵
その秘密は、BMW独自の可変バルブタイミング機構「ShiftCam」にあります。低回転域(約9,000rpm以下)では燃焼効率を重視したカムプロフィールが使われ、高回転域ではパワー重視のプロフィールに切り替わります。これにより、街乗りやツーリングペースで流している時は、リッターSSとは思えないほど燃費が伸びます。
私の経験則やオーナー間での一般的なデータでは、高速道路を使ったツーリングならリッター15km〜17km程度は走ります。タンク容量も16.5リットル確保されているので、航続距離も250km以上は堅く、頻繁な給油に悩まされることも少ないでしょう。
とはいえ、やはりスーパーバイク特有のコストは掛かります。
- 燃料:
もちろんハイオク指定は絶対です。 - タイヤ:
標準装備のタイヤ(S22やRACETEC RRなど)はグリップ力が高い分、寿命は短めです。数千キロで交換時期が来ることも覚悟してください。 - 整備費:
オイル交換や定期点検は、正規ディーラーで行う場合、国産車より工賃設定が割高になる傾向があります。
しかし、BMWには「3年間の新車保証」や「エマージェンシーサービス」が充実しています。国産SSでも部品代が高騰している今、外車だからといって極端に故障や維持費を恐れる必要はない時代になったかなと思います。
S1000RRの2025年モデルと新旧モデル比較
新型モデルが登場するというニュースは、単に「新しいバイクが買える」というだけでなく、市場全体が大きく動く合図でもあります。
2025年モデルのスペックや装備が最高であることは間違いありませんが、すべてのライダーにとって新車が正解とは限りません。「予算を抑えてカスタムに回したい」「あえて熟成された旧型を狙いたい」という方も多いでしょう。
しかし、今回のモデルチェンジに関しては、これまでの常識が通用しない「異常事態」が起きようとしています。ここでは、プロの視点から市場の動向を読み解き、あなたが損をしないための賢い買い物のヒントをお伝えします。
BMW S1000RRの中古相場の変化
通常、自動車やバイクの世界では、新型モデルが発売されると旧型は「型落ち」という扱いになり、中古車相場は下落トレンドに入るのが通例です。そのため、「安くなるのを待ってから旧型を買おう」と考えるのは、非常に合理的な戦略でした。
しかし、今回のS1000RRに関しては、そのセオリーが通用せず、むしろ「相場が下がらない」、あるいは「逆に上がる」という特殊な現象が予測されています。
ライバル不在が生む「公道4気筒」への需要集中
なぜ、相場が下がらないのでしょうか。その最大の要因は、S1000RR自体の人気もさることながら、競合他社の動向にあります。長年、リッターSS(スーパースポーツ)市場を牽引してきたヤマハ「YZF-R1」やスズキ「GSX-R1000R」が、欧州や日本国内において公道仕様モデルの販売を終了、または生産終了としてしまったことは、市場にとってあまりにも大きな衝撃でした。
これにより、「甲高い直列4気筒サウンドを楽しめる、公道走行可能な最新リッターSS」という選択肢は、事実上、以下の2車種に絞られつつあります。
- ホンダ CBR1000RR-R FIREBLADE
(価格が高騰し、乗り出し300万円〜となるケースが多い) - BMW S1000RR
ドゥカティやアプリリアなどのV型4気筒勢も魅力的ですが、「やっぱり4発(直4)がいい」というライダーの受け皿が一気に狭まってしまったのです。その結果、信頼性が高く、ディーラー網も充実しているS1000RRの中古車に、行き場を失った需要が集中する構造が出来上がっています。
2025年モデルの新車価格は約268万円〜と発表されましたが、これに伴い、中古車市場では以下のような心理が働きます。
- 「新車が買えない層が、高年式の中古車(2019年〜2024年モデル)に流れてくる」
- 「新車の納期遅れを嫌う層が、即納可能な登録済み未使用車などを買い漁る」
つまり、需要が供給を上回り続けるため、特に状態の良い車両は価格が維持されるか、新車価格の上昇に引っ張られて相場が微増する可能性すらあります。「もう少し安くなったら…」と様子を見ている間に、良質な個体が市場から消えてしまうリスクが高いのが現状です。
もしあなたが、2019年モデル以降(現行デザインのK67型)の中古車を検討していて、条件に合う車両を見つけたのであれば、迷わずに決断することをおすすめします。今の市場環境において、「待つこと」によるメリットは極めて薄いと言えるでしょう。
Mパッケージの2023年式は中古の狙い目

「最新モデルが欲しいけれど、乗り出しで350万円オーバーはさすがに予算が…」と悩んでいる方へ、私が自信を持っておすすめする「裏技」的な選択肢があります。それが、2023年から2024年にかけて販売された「後期型K67」のMパッケージの中古車を狙うという戦略です。
なぜ、あえて型落ちとなる2023年モデルを推すのか。単なる妥協ではなく、むしろ賢いライダーが辿り着く「最適解」になり得る理由を、スペックと市場のリアリティから解説します。
心臓部は2025年モデルと互角の「210馬力」
最大の理由は、バイクの性能を決定づけるエンジンにあります。実は、2023年モデルの時点でエンジン内部には大幅な改良が施されており、最高出力は現行の2025年モデルと全く同じ210馬力(154kW)に到達しています。
つまり、加速力や最高速といった純粋な動力性能において、2023年モデルは2025年モデルに一歩も引けを取りません。2025年モデルでの変更点は、主に排出ガス規制(ユーロ5+)への適合と、スライドコントロール等の電子制御のアップデート、そして空力パーツの変更です。公道や一般的な走行会レベルで、この微細な電子制御の差を感じ取れるライダーは極めて稀でしょう。
- エンジン:
最新型と同じShiftCam搭載 210馬力ユニット。 - 装備:
Mカーボンホイール、Mシート、Mブレーキキャリパーなど、数百万円級の豪華装備が標準。 - 電子制御:
トラクションコントロールやABS Proなど、現状でも世界最高峰のシステムを搭載済み。
デザインの好みで選ぶ「スマートなウイングレット」
2025年モデルの外観上の大きな特徴である「巨大化したウイングレット」ですが、これには賛否両論があります。「MotoGPマシンのようでカッコいい」という意見がある一方で、「公道で乗るには少し派手すぎる」「クワガタムシのようで…」と躊躇する声も少なくありません。
その点、2023年モデルのウイングレットは、機能性を確保しつつもカウルデザインに美しく統合されており、非常にスタイリッシュです。「S1000RRらしいシャープな顔つきが好き」という理由で、あえて2023年モデルを指名買いするファンもいるほどです。もしあなたが「さりげない高性能」を好むのであれば、デザイン面でも2023年モデルの方が満足度が高いかもしれません。
「慣らし運転済み」と「カスタム」という実利
中古車ならではの大きなメリットとして、「即戦力」であることが挙げられます。S1000RRの新車には、走行距離1,000kmまでの回転数制限(レブリミッター)が設けられており、ディーラーで初回点検を受けて解除プログラムを実行するまでは、真のパワーを解放できません。この「慣らし運転」は儀式として楽しむ側面もありますが、忙しい社会人にとっては早く全開にしたいのにもどかしい期間でもあります。
しかし、中古車であればその制限は解除済みであることがほとんどです。納車されたその瞬間から、210馬力の咆哮を楽しむことができます。
| 項目 | 新車 (2025) | 中古車 (2023 Mパケ) |
|---|---|---|
| 車両価格 | 約270万円〜 (OP別) | 相場により割安感あり |
| 慣らし運転 | 必要 (回転数制限あり) | 不要 (即全開可能) |
| カスタム | ゼロから構築 | フェンダーレスやスライダー等が 装着済みの可能性大 |
| 納期 | 数ヶ月待ちの可能性 | 即納車可能 |
さらに、前のオーナーがフェンダーレスキット、エンジンスライダー、ラジエターガードといった「必須級のカスタム」をすでに施してくれているケースも多々あります。これらを後から揃えると、工賃込みで軽く10万円〜20万円は掛かります。車両本体価格の差以上に、トータルコストでのパフォーマンスは圧倒的です。
市場に出回っている2023年式Mパッケージは、大切に乗られてきた個体が多く、状態が良い傾向にあります。2025年モデルの登場で乗り換えが発生する今こそ、最高の一台に出会えるチャンスです。
初期型2012年式や2代目の2014年式とは
新型や高年式モデルの魅力は疑いようもありませんが、さらに歴史を遡って、初期型(2010年〜)や2代目(2012年〜2014年頃)に目を向けてみるのも、ある種の通な選択肢と言えます。特にこの世代のS1000RRは、左右非対称のヘッドライト(通称:片目・エイリアン顔)や、右側面に刻まれた「サメのエラ」のような非対称サイドカウルが最大の特徴です。
「今のLEDでスマートな顔つきも良いけど、S1000RRといえばやっぱりこの独特な顔だよね」という根強いファンは非常に多く、デザインの個性が際立っていた時代でもあります。現在の中古車市場では、車両価格が100万円前後、場合によってはそれ以下から狙える個体も増えており、憧れの外車SSを手に入れるハードルは格段に下がっています。
「安いから」で飛びつくと危険な理由
しかし、価格の安さだけでこの年式に飛びつくのは、はっきり言って危険です。正直にお伝えしますが、購入後の維持費や修理リスクは、高年式モデルとは比較にならないほど高まります。
製造から10年〜13年以上が経過しているため、エンジンや車体の基本構造が丈夫でも、周辺パーツが物理的な寿命を迎えているケースがほとんどだからです。
特に以下の部品が故障すると、修理費が高額になりがちです。
- ABSユニット(モジュール):
経年劣化で故障しやすい定番箇所です。新品交換となると、部品代と工賃で20万円〜30万円コースになることも珍しくありません。 - 電子制御系:
初期のDTC(トラクションコントロール)やクイックシフターのセンサー類、左手元のスイッチボックス(接触不良)などもトラブルが出やすい箇所です。 - 冷却水漏れ・オイル滲み:
ウォーターポンプやヘッドカバーガスケットなど、ゴムパッキン類の硬化による漏れは「あって当たり前」と思っておく必要があります。
覚悟を持って乗るなら最高の一台
脅かすようなことばかり言いましたが、それでもこの時代のS1000RRが持つ、荒々しくもダイレクトなエンジンの吹け上がりは、現代の規制でがんじがらめになったバイクにはない魅力です。
もし、2012年式や2014年式を本気で狙うのであれば、以下の3つの条件を満たす車両を探してください。
- 整備記録簿が完備されていること:
過去に正規ディーラーでどのような整備を受けてきたか、履歴が追えることが絶対条件です。 - 現状販売を避けること:
保証がつかない、または極端に短い「現状渡し」の車両は避け、信頼できるショップで納車整備を受けた車両を選びましょう。 - 「修理積立金」を用意すること:
車両購入費とは別に、常に30万円〜50万円程度は、突発的な修理に使える現金をプールしておきましょう。
「壊れたら直す」という旧車と付き合うような心構えと予算があれば、100万円で手に入るスーパーバイクとして、これほど刺激的な選択肢は他にありません。
最新のRRモデルのBMWの魅力とは

ここで改めて、最新のBMW「RR」モデルの根源的な魅力について、私自身の体験と哲学を交えて深く掘り下げてみたいと思います。インターネットで「RR BMW」と検索するライダーたちが求めている答え、それは単なるスペック数値の羅列ではないはずです。
私が思うに、S1000RRというマシンの真価は、他メーカーの追随を許さない、ある種異常とも言えるほどの「完璧な二面性」にあります。多くのスーパースポーツ(SS)が「速さ」と引き換えに「快適性」や「実用性」を犠牲にする中で、BMWだけは頑なにその両立を追求し続けてきました。
サーキットの「戦闘機」から、公道の「グランドツアラー」へ
S1000RRをサーキットに持ち込めば、それは文字通りの「戦闘機」になります。MotoGPなどの最高峰レースからフィードバックされた電子制御が、スライドコントロールやブレーキサポートとしてライダーを補佐し、プロレーサーも唸るほどのラップタイムを叩き出すポテンシャルを発揮します。210馬力の咆哮と、路面に吸い付くようなコーナリング性能は、まさにレーシングマシンのそれです。
しかし、ひとたびサーキットを離れ、公道(ストリート)に出た瞬間、このマシンは驚くべき変貌を遂げます。「スパルタンすぎて街乗りが苦痛」「渋滞やロングツーリングは修行」というSSの常識を覆し、まるで上質な「グランドツアラー」のような顔を見せるのです。
- グリップヒーターの標準装備:
初代モデル登場時、「SSにグリップヒーターなんて軟弱だ」と笑う人もいましたが、今やS1000RRの代名詞です。真冬の峠道や、標高の高い山間部、雨天時の走行において、指先の感覚を温存することは、快適性だけでなく「安全なブレーキングとスロットル操作」に直結します。 - クルーズコントロール:
高速道路での長距離移動時、右手首をスロットル操作から解放できる恩恵は計り知れません。疲労を最小限に抑え、目的地に着いてからの体力を温存できる。これはもはや、一種の安全装置と言えます。 - DDC(ダイナミック・ダンピング・コントロール):
電子制御サスペンションが、路面の凹凸や走行状況に合わせて、1000分の1秒単位で減衰力を調整します。サーキットでは硬く、街乗りのギャップではしなやかに。魔法の絨毯のような乗り心地を提供してくれます。
「疲れない」ことは「速さ」であるという哲学
なぜ、BMWはこれほどまでに快適装備にこだわるのでしょうか。それは、BMWモトラッドに通底する「ライダーの疲労軽減こそが、安全性と速さにつながる」という哲学があるからです。
寒さで指がかじかんでいては、繊細なブレーキ操作はできません。長距離移動でヘトヘトになっていては、ここぞという時の集中力が続きません。ライダーを快適な環境に置くことで、常にベストなパフォーマンスを発揮させる。最新の「RRモデルのBMW」には、そんなドイツ流の合理主義と優しさが詰まっています。
スイッチ一つで「ジキルとハイド」のように性格を使い分け、サーキットでのタイムアタックから、泊まりがけのロングツーリングまでを一台で完璧にこなす。これこそが、S1000RRが世界中のライダーから愛され続け、他のSSとは一線を画す「プレミアム・ブランド」としての地位を確立している理由なのです。
BMW S1000RSとの比較検討
S1000RRの購入を検討している方の中で、検索エンジンに「BMW S1000RS」というキーワードを入力した経験がある方はいませんか?実は、BMWの現行ラインナップに「S1000RS」という名称のモデルは存在しません。
しかし、このキーワードが頻繁に検索される背景には、ライダーたちの切実な願いが見え隠れします。おそらく、「S1000RRのような並列4気筒の刺激的なエンジンで、R1250RSのような快適なカウル付きツーリングポジションのバイクが欲しい」という、理想のクロスオーバーを求めているのではないでしょうか。
ここでは、S1000RRと比較検討すべき「兄弟モデル」や「旅の相棒」たちを整理し、あなたが本当に選ぶべき一台を明確にします。
比較対象となる3つの選択肢
「S1000RRのエンジンや性能は魅力的だが、前傾姿勢に耐えられるか不安」という方が比較すべきは、主に以下の3モデルです。
| モデル | キャラクター | おすすめな人 |
|---|---|---|
| S1000R | 「脱いだら凄い」ネイキッド S1000RRのフェアリング(カウル)を取り去り、 バーハンドル化したストリートファイター。 中低速トルク重視のチューニング。 | カウルは不要で、街乗りや峠道を軽快に走りたい人。 前傾は緩いが、高速道路での風圧は覚悟が必要。 |
| S1000XR / M1000XR | 「背の高いS1000RR」 S1000RRのエンジンを搭載したアドベンチャースタイル。 視点が高く、殿様乗りで爆速という異次元の乗り物。 | 腰痛持ちだが、SSと同等の加速感を味わいたい人。 最強の長距離ツアラーを探している人。 |
| R1250RS | 「大人のスポーツツアラー」 伝統のボクサー(水平対向)エンジンを搭載。 重心が低く、直進安定性はピカイチ。 | 刺激よりも、どこまでも走り続けられる疲れない 旅バイクが欲しい人。エンジンの鼓動感を楽しみたい人。 |
それでも「S1000RR」を選ぶべき理由
もしあなたが、重度の腰痛や首のヘルニアを抱えているのであれば、私は迷わずバーハンドルを採用している「S1000XR」や「R1250RS」をおすすめします。無理をしてバイクを嫌いになってほしくないからです。
しかし、「そこまで深刻ではないけれど、SSの姿勢は辛そうだな…」と漠然と不安を感じているだけなら、私はあえてS1000RRを強く推します。なぜなら、S1000RRのライディングポジションは、他メーカーのスパルタンなSS(例えばYZF-R1やパニガーレなど)に比べて、ハンドル位置が高く、ステップ位置も極端ではないため、「SSの中では驚くほど居住性が高い」からです。
特に今回の新型モデルには、長距離ライダーにとって朗報となるアップデートが含まれています。
- ハイスロットルの採用:
少ない手首のひねりで加速できるため、右手首の腱鞘炎リスクや疲労が格段に減ります。 - クルーズコントロールとの相乗効果:
右手を添えるだけで高速巡航が可能になり、1日500kmクラスのロングツーリングも十分にこなせるポテンシャルを持っています。
結局のところ、バイク選びで最も重要なのは「ガレージを開けた瞬間のときめき」です。「見た目はフルカウルのSSが一番好きだけど、楽なネイキッドで妥協する」という選び方をすると、街ですれ違うS1000RRを目で追ってしまい、後悔することになりかねません。
「見た目は最高のSS、中身は快適なツアラー」。そんなワガママな願いを最も高い次元で叶えてくれるのは、幻のS1000RSではなく、実在するこのS1000RRなのです。
S1000RRの2025年型モデルを選ぶべき理由

最後にまとめとなりますが、私が今、あえて2025年型のS1000RRを強く推す理由はシンプルです。
それは、これが「内燃機関(ガソリンエンジン)のスーパーバイクとして、一つの完成形だから」です。環境規制の締め付けにより、ライバルたちが次々と市場から去り、電動化の波がひたひたと押し寄せる中で、これほどまでに熱情的で、高回転まで突き抜ける4気筒サウンドを奏で、かつ洗練されたマシンを「新車」で買えるチャンスは、今後どんどん減っていくでしょう。
268万円という価格は、決して安い買い物ではありません。しかし、そこで手に入る体験、仲間との出会い、そしてガレージを開けるたびに感じる高揚感を考えれば、その価値はプライスレスです。
迷っている時間はもったいないです。ぜひお近くのディーラーで実車を見て、その圧倒的なオーラに触れてみてください。きっと、あなたのライダー人生を激変させる出会いが待っているはずですよ。

