BMWのバイクの中古はなぜ安い?驚きの理由と賢い選び方を徹底解説

こんにちは。高級モトクラブ、運営者の「A」です。

憧れのBMWのバイクを手に入れたいけれど新車は高嶺の花だと諦めかけていたとき、中古市場を見てその価格の安さに驚いたことはありませんか。

まさにBMWのバイクが中古だとなぜ安いのか疑問に思い、同時に壊れやすいという噂や寿命に関する不安、維持費がどれくらいかかるのかといった心配が頭をよぎる方も多いはずです。

私自身も最初は、あまりの安さに裏があるのではないかと勘繰ってしまいましたが、市場の仕組みや車検制度の影響、そしてディーラーでの整備事情などを知ることで納得がいきました。

この記事では、これからBMWの中古車購入を検討している方が後悔しないために必要な知識を余すことなくお伝えします。

本記事のポイント
  • 新車価格に対して中古相場が大幅に下落する構造的なメカニズム
  • 購入後に待ち受けている可能性がある具体的な修理費や維持コスト
  • リスクを最小限に抑えて良質な車両を手に入れるための賢い選び方
  • 不人気と言われるモデルの真実や狙い目となる具体的な車種情報
目次

BMWのバイクの中古車はなぜ安い?理由を徹底解説

BMWの新車価格は国産車と比べても非常に高額ですが、中古市場に目を向けると、比較的新しい年式であっても驚くほど手頃な価格で並んでいることがあります。

ここでは、なぜこれほどまでに値崩れが起きるのか、その経済的な背景や車両の特性に基づいた理由を深掘りしていきます。単なる不人気というわけではなく、そこには明確な「市場の論理」が働いているのです。

値段が破格!中古車が安い理由は何?

BMWのバイクが中古市場で安く取引される最大の理由は、日本国内における独特な販売戦略と市場の供給バランスにあります。まず、BMW Motorradは日本市場において「バリューローン」と呼ばれる残価設定型ローンを非常に強力に推進しています。

これは車両価格の約30%から50%を3年後や5年後の最終回支払いに据え置くことで、月々の支払額を抑えて高級バイクに乗れるという仕組みです。

このローンを利用するオーナーの多くは、支払いが完了する3年後(最初の車検時期)や5年後のタイミングで、残価を清算して乗り続けるよりも、車両を返却して新しいモデルに乗り換えることを選択します。

メーカー側も乗り換えを促進するキャンペーンを頻繁に行うため、結果として車検のタイミングで、履歴のしっかりした状態の良い高年式車が市場に大量供給されるという現象が定期的に発生するのです。

バリューローンを利用した新車購入から、3年・5年後の車検タイミングで車両が返却され、良質な中古車が市場に大量供給されることで価格が下落する仕組みを図解したスライド。
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これを経済学的な視点で見ると、需要に対して供給過多な状態が作られやすく、在庫を減らすために価格競争が起きる、つまり相場が下がるというわけですね。

また、BMWは輸入車市場において圧倒的なシェアを持っています。日本自動車輸入組合(JAIA)の統計などを見ても、長年にわたり輸入二輪車の新規登録台数で上位を占めており、その流通量の多さが中古車市場にも反映されています。

出典:日本自動車輸入組合『輸入二輪車新規登録台数』

さらに、BMWは技術革新のスピードが非常に速いメーカーです。数年で電子制御サスペンションやTFT液晶メーター、アダプティブクルーズコントロールといった最新技術が投入されるため、一世代前のモデルは機能的に大きく見劣りしてしまい、陳腐化(オブソレッセンス)が進みやすいという側面もあります。

「型落ち感」が強く出るため、価格を下げないと売れにくいという事情もあるのかなと思います。

BMWの輸入二輪車新規登録台数の高さを示す棒グラフと、TFT液晶やACCなどの新技術が数年おきに投入され、旧モデルの陳腐化が進む様子を表したタイムライン。
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ここがポイント

単に「人気がない」から安いのではなく、メーカーの戦略によって「良質な中古車が3年・5年周期で市場に溢れかえる」構造になっていることが、安さの主因です。

欠点は何? 中古車を買うデメリットは?

安さの裏には、当然ながらリスクも潜んでいます。最大のデメリットは、購入後に発生する可能性が高い「高額な維持費」と「修理コスト」です。ここを甘く見ていると、せっかく安く買ったのに維持できずに手放すことになりかねません。

氷山のイラスト。水面上の「車両価格」は安く見えるが、水面下には「電子部品の故障」「消耗品交換」「専用工具」などの高額な維持コストが隠れていることを警告する図。
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そもそもBMWを含む欧州メーカーのバイクは、日本車とは設計思想が根本的に異なります。

日本車は「なるべくメンテナンスフリーで長く乗れること」を重視しますが、BMWは「最高の性能を維持するために、消耗品は定期的に交換する」という、航空機に近い考え方で作られています。そのため、国産車なら廃車まで無交換で済むような部品でも、3万キロ〜5万キロ程度で交換時期を迎えるケースが多々あります。

特に恐ろしいのが、BMWが誇る先進的な電子制御パーツの故障です。例えば、電子制御サスペンション(ESA)やABSユニット、各種センサー類などが故障した場合、部品代だけで20万円、30万円といった見積もりが平気で出てきます。

これらは「修理」ではなく「アッセンブリー交換(丸ごと交換)」になることがほとんどだからです。

R1200GSのイラストを用い、電子制御サスペンション(ESA)が20万円以上、ABSユニットが30万円以上など、具体的な高額修理が発生しやすい箇所を示した図。
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中古車価格が安いのは、市場がこれらの「将来発生しうる高額なコスト」を予見し、そのリスク分を車両価格からあらかじめ差し引いている(ディスカウントしている)結果とも言えるでしょう。

また、部品の供給体制もネックです。純正部品はドイツ本国からの輸入となるため、輸送コストや関税、インポーターのマージンが上乗せされ、国産車の同等部品の2倍〜3倍の価格になることも珍しくありません。「部品待ちで1ヶ月乗れない」なんてことも、古いモデルやマイナーなトラブルでは実際に起こり得ます。

注意点

「車両価格が安い」=「トータルコストが安い」ではありません。購入後の整備費用まで含めた予算計画が必要です。「車検付き30万円」のBMWは、次の車検で30万円かかる時限爆弾かもしれません。

買うならいつが安くなる?

中古車相場は生き物のように変動しますが、その波を見極めることで、通常よりもお得に購入できるチャンスがあります。一般的にバイクが安くなるのは冬場などの閑散期ですが、BMWの場合はさらに注目すべき固有のタイミングがあります。

フルモデルチェンジ直後に旧型が市場に溢れるタイミングと、3月の決算期に登録済み未使用車が放出されるタイミングが「安くなる時期」であることを示したイラスト。
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最も大きな変動要因は「フルモデルチェンジの直後」です。BMWは新型車が出ると、その性能向上幅が著しいため、多くの既存オーナーが一斉に乗り換えに動きます。

すると、下取りとして出された旧型モデルが市場に溢れかえり、供給過多となって相場が一気に下落します。特に、エンジンの形式が変わる(例:空冷から水冷へ)ような大きな変更があった際は、旧型の価格変動が激しくなります。

次に狙い目なのが「3月などの決算期・車検シーズン」です。3月は多くの企業の決算月であり、ディーラーは販売目標を達成するために、自社登録を行った「登録済み未使用車」を市場に放出することがあります。

これらは新車同然ながら中古車として扱われるため、新車価格より数十万円安く手に入ります。これがアンカー(価格の錨)となり、通常の中古車相場も引きずられて安くなる傾向があります。

また、春は車検を迎える車両が多い季節でもあります。「車検代が高いから手放そう」と考えるユーザーの車両が増えるため、在庫が豊富になり、価格交渉もしやすくなる時期だと言えるでしょう。

逆に、ゴールデンウィーク前や秋のツーリングシーズン直前は需要が高まるため、相場は強気になります。安く買いたいのであれば、みんながバイクに乗りたがらない真冬や、年度末の決算セールを狙って動くのが賢い戦略ですね。

中古をレッドバロンで探すメリット

中古車探しを始めると、必ずと言っていいほど選択肢に入るのが、業界最大手の「レッドバロン」です。私自身も過去に数台、レッドバロンでバイクを乗り継いできましたが、特にBMWのような輸入中古車を探す場合、一般的な個人売買や小規模なショップにはない、大手ならではの強力なメリットが存在します。

ここでは、なぜ多くのライダーが最終的にレッドバロンでBMWを購入するに至るのか、その理由を具体的なサービス内容と共に深掘りします。

1. 圧倒的な「在庫共有システム」で運命の一台に出会える

BMWの中古車探しで最も高いハードルとなるのが、「タマ数(流通台数)の少なさ」です。国産車なら近所のバイク屋を数軒回れば見つかるような車種でも、BMWとなると、特定の年式やカラー、オプション装備(パニアケース付きなど)の条件を満たす個体を見つけるのは至難の業です。

レッドバロンの最大の武器は、全国300店舗以上、数万台規模の在庫をリアルタイムで検索できる「イントラネット(社内在庫検索システム)」です。最寄りの店舗に行けば、店内のモニターで全国各地にある在庫車の詳細な情報を見ることができます。

  • 車両の前後左右、メーター周り、傷の箇所などの詳細画像
  • エンジンの始動動画や異音の有無
  • 整備士によるコンディション評価シート

これらを確認し、気に入った車両があれば、最寄りの店舗に取り寄せて実車確認を行うことができます(※輸送費が発生する場合がありますが、購入時は車両代に含まれる等のキャンペーンがあることも)。

「北海道にある極上のR1200GSを、東京の店舗で商談する」といったことが日常的に可能なのは、全国直営ネットワークを持つレッドバロンだけの強みです。

2. 輸入車オーナーの命綱「距離無制限ロードサービス」

BMWに乗る上で、私たちが最も恐れるのは「出先でのトラブル」です。特に電装系が複雑な輸入車は、ツーリング先で突然エンジンがかからなくなるといったリスクがゼロではありません。

レッドバロンの会員制ロードサービス(あいおいニッセイ同和損保との提携サービス等)は、この不安を強力に払拭してくれます。特筆すべきは、「距離無制限で最寄りのレッドバロン、または自宅まで搬送してくれる」(※条件による)という点です。

一般的なロードサービスでは「100kmまで無料」といった制限があり、遠隔地で故障すると超過料金だけで数万円〜十万円が飛ぶこともあります。

全国どこで壊れても、近くにレッドバロンの工場があり、プロのメカニックが待機しているという安心感は、ロングツーリングを主体とするBMWライダーにとって、何物にも代えがたい保険となります。

3. 「オイルリザーブシステム」で維持費を大幅圧縮

大排気量のBMWは、エンジンオイルの交換費用も馬鹿になりません。例えば、R1250GSなどのボクサーエンジンは、一度の交換で約4リットルのオイルを必要とします。高品質な化学合成油を毎回定価で入れていれば、オイル代だけで1回1万円を超えてしまうこともザラです。

レッドバロンの代名詞とも言える「オイルリザーブシステム」を利用すれば、最初にオイルを(例えば15リットルや30リットル)まとめ買いすることで、1リットルあたりの単価を大幅に抑えることができます。工賃も会員価格で安く済むため、年間の維持費を数万円単位で節約することが可能です。頻繁に長距離を走るライダーほど、この恩恵は大きくなります。

品質へのこだわり:ACIDM(アシダム)検査

レッドバロンでは「ACIDM」という独自のシャーシダイナモ付き検査機器を導入しており、フレームの歪みやホイールアライメント、エンジンの出力特性などを数値化してチェックしています。「無事故車」と謳われていても実はフレームが曲がっていた…という中古車特有のリスクを、科学的なデータで排除できる点も大きなメリットです。

4. 店舗ごとの「技術格差」には注意が必要

メリットばかりを強調しましたが、注意点も正直にお伝えしなければなりません。それは、「店舗(工場長やメカニック)によって、BMWに対する知識や整備スキルに差がある」という現実です。

レッドバロンは全メーカー全車種を扱いますが、店舗によっては「国産車は得意だが、外車の複雑な診断は苦手」というケースも存在します。特に、専用診断機を用いたエラーコードの解析や、特殊なSST(専用工具)を必要とする重整備の場合、店舗での対応が難しく、時間がかかったり、結局ディーラー外注になったりすることがあります。

賢い利用方法

購入を検討している店舗のスタッフに、「この店ではBMWの車検や重整備の実績は多いですか?」「専用の診断機は常備していますか?」と率直に聞いてみることをお勧めします。BMWを得意とするメカニックが在籍している店舗であれば、ディーラーに頼るよりも安価で柔軟な整備を受けられる可能性が高まります。

維持費はレッドバロンなら安い?

「正規ディーラーは敷居が高いし、工賃(レバーレート)も高そう。レッドバロンなら安く維持できるのでは?」と考える方は非常に多いですし、その考えは半分正解で半分間違いかもしれません。

確かに、時間あたりの基本工賃(レバーレート)を比較すると、正規ディーラーが1時間あたり12,000円〜16,000円程度であるのに対し、レッドバロンや一般的な量販店はもう少し安価な設定になっていることが多いです。

オイル交換やタイヤ交換、ブレーキパッド交換といった一般的な消耗品の整備であれば、レッドバロンの方がトータルの支払額を抑えられる可能性は高いでしょう。

しかし、近年のBMWは高度に電子制御化されており、整備には「専用の診断機(コンピューター)」が不可欠です。サービスリマインダー(点検時期のお知らせ)のリセット一つとっても、専用機器がないと消すことができません。

レッドバロンも主要な輸入車に対応した診断機を導入していますが、最新モデルや複雑な電子制御トラブル、あるいはリコール対応などに関しては、結局のところ正規ディーラーでないと対応できないケースが存在します。

そのような場合、レッドバロンから正規ディーラーへ車両を持ち込んで整備を依頼することになります(外注整備)。そうなると、ディーラーの工賃に加えて、レッドバロンの代行手数料などが上乗せされる可能性もあり、結果的に「最初からディーラーに出した方が早くて安かった」という事態にもなりかねません。

また、部品代に関しては、純正部品を使用する限りどこで頼んでも基本的に価格は変わりません(社外品を使えば安くできますが、BMWは社外品の選択肢が少ないのも難点です)。

スクロールできます
項目正規ディーラー一般的な販売店(レッドバロン等)
基本工賃高め(専門知識と設備への投資)比較的安価
診断機対応全モデル・全症状に完全対応汎用診断機での対応(一部不可あり)
部品供給本国オーダーで迅速、在庫も豊富ルートにより納期がかかる場合がある
リコール対応自店で即時対応可能ディーラーへの持ち込みが必要

BMWのバイクの中古車はなぜ安いか知り賢く選ぶ

ここまで「安い理由」や「リスク」について詳しく解説してきましたが、脅かすつもりだけではありません。リスクを正しく理解し、適切な車両を選べば、BMWは他では味わえない最高のライディング体験を提供してくれます。

ここからは、具体的な車種選びのヒントや、購入時に見るべきポイントを、私の経験を交えて解説します。

やめとけと言われる人気ないモデル

インターネットやSNSでBMWの中古車情報を探していると、「このモデルだけは絶対にやめとけ」「手を出したら後悔する」といったネガティブな意見を目にして不安になることがあります。しかし、この「やめとけ」という言葉には、大きく分けて全く異なる2つの意味が含まれています。

一つは「構造的な欠陥や高額な修理リスクを抱えているため、経済的に危険なモデル(地雷)」であり、もう一つは「デザインやエンジン形式がブランドの主流から外れているため、食わず嫌いで不人気なモデル(穴場)」です。この2つを混同せず、正しく見極めることが賢い中古車選びの核心となります。

2000年代前半のサーボブレーキ搭載車や、90年代のネオクラシック世代におけるワイヤーハーネスの被覆劣化など、修理費が高額になるため避けるべきモデルを解説したスライド。
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1. 【地雷】構造的リスクが高く、本当に警戒すべきモデル

安易に手を出すと、車両購入価格以上の修理費がかかる可能性が高いのがこのカテゴリーです。代表格は、2000年代前半に採用されていた「インテグラルABS(サーボアシストブレーキ)」搭載車です。

サーボブレーキ(I-ABS)の特徴とリスク

  • 対象年式(目安):
    2001年頃〜2006年頃(R1150全系、初期R1200GS/RT/ST、K1200GT/RSなど)
  • 見分け方:
    イグニッションをONにした際、ブレーキレバーを握ると「ウィーン」「キュイーン」という電動モーター音が聞こえる。
  • リスク:
    サーボユニット内部の故障率が高く、故障するとブレーキアシストが停止し、制動力が極端に低下する(「残圧ブレーキ」と呼ばれる、ほとんど効かない状態になる)。
  • 修理費:
    ユニットのアッセンブリー交換が必要で、部品代と工賃を合わせて30万円〜40万円以上かかるケースが一般的。

中古車市場でR1150RTなどが20万円台で投げ売りされているのをよく見かけますが、これは「いつ壊れるかわからない時限爆弾」を抱えているためです。ABSユニットを撤去して直結する(ABSキャンセル)という荒業も存在しますが、車検対応や安全性の観点から推奨はできません。初心者はこの年代のモデルを避けるのが無難です。

また、初期型のK1200S / K1200R(横置き4気筒モデル)も注意が必要です。2005年〜2006年の初期ロットは、アイドリングが不安定になるトラブル(アイドルバルブの問題)や、カムチェーンテンショナーの設計不足による異音、クラッチバスケットの破損など、不具合報告が多発しました。圧倒的なパワーは魅力ですが、維持には相応の覚悟と知識が求められます。

2. 【穴場】実力はあるが、食わず嫌いで安いモデル

一方で、「やめとけ」と言われる理由が「好み」や「イメージ」の問題である場合、それは絶好の狙い目となります。これらは性能に問題があるわけではなく、BMWファンの保守的な嗜好に合わなかっただけだからです。

  • R1200ST (2005-2007):
    縦に配置された異型の六角形ヘッドライトが「奇抜すぎる」として不評を買い、短命に終わったモデルです。

    しかし中身は名車R1200RTと同じエンジン・車体を持ち、より軽量でスポーティな味付けがされています。防風性能も高く、長距離ツーリング性能は一級品。デザインさえ許容できれば、R1200RTより数十万円安く買える最高の相棒になります。
  • Fシリーズ (F800S/ST/GT, F700GSなど):
    「BMWといえば水平対向(ボクサー)エンジン」という固定観念を持つ層からは、「並列2気筒なんてBMWらしくない」と敬遠されがちです。

    しかし、Rotax社と共同開発したエンジンは燃費が良く、軽量で、日本の狭い峠道や渋滞路ではRシリーズよりも圧倒的に扱いやすいというメリットがあります。「ブランドバッジよりも実用性」を取るライダーにとっては、これほどコストパフォーマンスの高い輸入車はありません。
  • Cシリーズ (C600Sport, C650GT):
    BMWのマキシスクーターですが、TMAXなどの強力なライバルがいるため影が薄くなりがちです。しかし、高速道路での安定性はさすがBMWであり、中古相場も驚くほど安価で推移しています。通勤快速兼ツーリングマシンとして非常に優秀です。

このように、「やめとけ」の声の裏にある真実を見極めれば、リスクを回避しつつ、隠れた名車を格安で手に入れることができます。他人の評価ではなく、自分の用途と予算に合致するかどうかで判断しましょう。

「BMWのバイクはやめとけ」という意見の真偽や、壊れやすいと言われる具体的な理由と対策についてまとめたBMWのバイクはやめとけ?壊れやすいと言われる理由と対策まとめ記事も、合わせて確認しておくと全体像がつかみやすいですよ。

中古のおすすめ車種一覧を公開

では、具体的にどの中古車を選べば、リスクを抑えつつBMWらしい走りを楽しめるのでしょうか。私が自信を持っておすすめできるモデルをいくつかピックアップしました。

信頼性の高い空冷DOHC最終型のR1200GS、構造がシンプルなR nineT、扱いやすいF700/800GSの3車種を紹介し、それぞれのメリットを記載したスライド。
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1. R1200GS / R / RT (2010-2012年 空冷DOHC最終型)

通称「空冷DOHC」と呼ばれるこの世代は、空冷ボクサーエンジンの完成形と言われています。エンジンの信頼性が非常に高く、サーボブレーキも廃止されているため、致命的な故障リスクが大幅に減っています。

電子制御もESA(電子サス)などは付いていますが、現代のモデルほど複雑怪奇ではないため、バランスが良いです。価格も底値で安定しており、買った後の値落ちも少ないでしょう。

2. R nineTシリーズ (2014年〜)

空冷ボクサーエンジンを搭載したヘリテージモデルです。このバイクの最大の魅力は「構造がシンプルであること」です。テレレバーではなく一般的なテレスコピックフォークを採用し、電子制御もABSやトラクションコントロールなど最低限に留められています。

つまり、壊れる箇所が少ないのです。カスタムパーツも豊富で、自分だけの一台に仕上げる楽しみもあります。人気車種なので価格は高めですが、リセールバリュー(売る時の価格)も抜群に良いのが特徴です。

3. F700GS / F800GS (2013年以降)

アドベンチャーバイクに乗りたいけれど、R1200GSは大きすぎるし重すぎる…という方に最適です。並列2気筒エンジンは燃費も良く、維持費もRシリーズに比べれば常識的な範囲に収まります。特にF700GSは足つき性も良く、大型バイク初心者や女性ライダーにも強くおすすめできます。

2025年モデル発表後の相場変動

バイク業界では、毎年新しいモデルイヤーの車両が発表されますが、特に注目すべきは2025年モデルのような「節目」となる新型の登場です。

BMWは近年、レーダーセンサーを用いたアクティブ・クルーズ・コントロール(ACC)や、スマートフォンと連携する巨大なTFT液晶モニターなど、四輪車並みの先進装備を次々と標準化しています。

新型が出ると、これらの最新装備を持たない旧型モデルは、カタログスペック上で見劣りするため、中古市場での価格下落圧力が強まります。しかし、ここで冷静になって考えてみてください。

「バイクにオートクルーズやスマホ連携は本当に必要か?」と。もしあなたが「バイクは風を感じて操るものだ」と割り切れるなら、型落ちとなった高年式車は宝の山です。

例えば、アナログメーターのモデルは視認性が良く、故障してもメーター単体で修理しやすいというメリットもあります。

最新技術が必ずしもすべてのライダーにとって正義とは限りません。市場が「型落ち」と判断して値を下げた瞬間こそ、本質的な価値を知るライダーにとっては賢く購入する絶好の機会となるのです。

旧車の味わいと維持のリスク

「最新のBMWよりも、昔のR100RSのようなクラシックなBMWに乗りたい」という方もいるでしょう。

OHVエンジン(2バルブボクサー)を搭載した往年の名車たちは、現行モデルにはない独特の鼓動感や、機械としての美しさがあり、今でも熱狂的なファンがいます。これらはもはや「安い中古車」ではなく「ビンテージ」として扱われており、価格は高騰傾向にあります。

一方で、注意が必要なのが1990年代から2000年代初頭にかけての「ネオクラシック」世代(R1100系、初期R1200系)です。この時代の車両は、機械的な部分は頑丈でも、電装系の経年劣化が深刻な問題となっています。

特に有名なのが「ワイヤーハーネスの被覆ボロボロ病」です。当時の環境対応素材が熱や経年で劣化し、配線の被覆が粉々に砕け散り、ショートを引き起こすというトラブルです。

ハーネスを全交換するとなると、工賃を含めて数十万円コースの修理になります。また、ゴム部品や樹脂パーツの劣化も進んでおり、購入後にあちこちからオイル漏れが発生することも覚悟しなければなりません。

「車両価格が安いから」という理由だけでこの年代の車両を選ぶと、修理費地獄に陥る可能性が高いです。この年代に乗るなら、ある程度のトラブルは自分で直せるスキルを持つか、信頼できる主治医(専門店)を見つけておくことが必須条件となります。

安心重視なら認定中古車を選ぶ

ここまで様々なリスクやトラブルの事例をお伝えしてきましたが、「やっぱり外車は怖いのかな…」と不安になってしまった方もいるかもしれません。

そんな不安を払拭し、最も確実に安全なBMWライフをスタートさせる方法があります。それが「BMW Motorrad Premium Selection(認定中古車)」を選ぶことです。

認定中古車とは、BMW正規ディーラーが取り扱う中古車の中でも、厳格な基準(例えば、高度な100項目点検など)をクリアした車両のことです。消耗品が基準値以下であれば新品に交換され、整備履歴もしっかりと管理されています。そして何より素晴らしいのが、手厚い「保証制度」です。

認定中古車には、通常1年または2年の保証が付帯しており、期間内であれば走行距離無制限で、エンジンやトランスミッション、ABS、電装系などの主要部品の故障が無償で修理されます。

先ほどお話しした「30万円のABS修理」や「20万円のサスペンション交換」が、保証期間内ならタダになるのです。これは、故障一発で財布に大打撃を受けるBMWにおいては、最強の保険と言えます。

100項目の納車前点検、1年または2年の走行距離無制限保証、24時間エマージェンシーサービスなど、認定中古車に付帯する安心材料をアイコンで示した図。
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確かに、認定中古車の車両価格は、一般的な中古車店やオークション相場に比べて20万円〜30万円ほど高く設定されていることが多いです。しかし、その差額は「安心料」として考えれば決して高くはありません。

目先の安さを取って修理費に怯えながら乗るよりも、最初にお金を払って安心してツーリングを楽しむ方が、精神衛生上も良いのではないでしょうか。

メモ

認定中古車には、24時間365日対応の「エマージェンシー・サービス(ロードサービス)」が付帯するプランも多く、旅先での万が一のトラブル時にも、レッカー移動や宿泊の手配などをサポートしてくれます。

BMWのバイクの中古車はなぜ安いか総括

最後にまとめとなりますが、BMWのバイクが中古市場で安いのは、決して製品の品質が低いからではありません。

むしろ逆で、新車時の性能や技術があまりに高度で贅沢な作りであるため、経年による維持の難易度やコストが国産車よりも高くなるという事実を、市場がシビアに価格に織り込んでいる結果なのです。

「BMWのバイクの中古車がなぜ安いのか」と検索してたどり着いたあなたにとって、この安さは確かに警戒すべき「リスク」のシグナルかもしれません。

しかし、そのリスク(将来の整備コストや特性)を正しく理解し、認定中古車を選んだり、信頼できるショップを見つけたりして管理できるのであれば、これほどコストパフォーマンスの高い買い物はありません。

国産車のミドルクラス以下の価格で、世界最高峰の安全性と快適性を持つ「アウトバーンの王者」を手に入れることができるのです。長距離ツーリングでの疲れ知らずの走り、所有する喜び、そしてライダーとしての世界観の広がり。

BMWには、多少の手間やコストをかけてでも乗る価値が間違いなくあります。ぜひ、目先の価格だけでなく、トータルな視点で賢い選択をして、素晴らしいBMWライフをスタートさせてください。

中古車の安さは将来のコストが織り込まれた結果であり、リスクを管理できれば世界最高峰のバイクを安く手に入れられるチャンスであると結論付けるスライド。
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※本記事の情報は執筆時点の一般的な市場動向に基づきます。個別の車両状態や店舗の対応については、必ずご自身で確認し、最終的な購入判断は自己責任で行ってください。

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運用者プロフィール

バイク歴10年。 愛車はハーレー。「カタログよりもリアルな情報を」をモットーに、維持費の実態から故障トラブル、カスタムの楽しみ方まで、オーナーの実体験に基づいたノウハウを発信しています。 初心者の方が後悔しないバイクライフを送れるよう、全力でサポートします!

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