こんにちは。高級モトクラブ、運営者の「A」です。
最近になって急に「ハーレーの値崩れ」に関する話題を耳にする機会が増え、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
SNSやYouTubeを開けば「ハーレーブーム終了」「暴落」なんて刺激的な言葉が飛び交っていますが、その理由や具体的な背景を深く知らないままでは、大切な愛車の売却や、これからの新規購入で思わぬ損をしてしまうかもしれません。
「自分が持っているハーレーの価値は大丈夫なのか?」
「今、安くなっているなら買い時なのか?」
そんな疑問を持つ皆さんのために、今回は私が独自にリサーチした2025年最新の市場データと、現場の肌感覚をもとに、ハーレー市場の「今」と「これから」について徹底的に深掘りしてお話しします。
この値上がり傾向はいつまで続くのか、逆に今買ってはいけないハーレーはあるのかなど、これから賢くハーレーライフを楽しむために知っておくべき情報は山積みです。
- 値崩れしているモデルと高騰しているモデルの決定的な違い
- 将来的に損をする可能性が高い買ってはいけない車種の特徴
- 資産価値を維持し続ける鉄壁のハーレーモデルとその理由
- 2026年以降の市場動向と賢い売り時・買い時の見極め方
ハーレーが値崩れの真実と下落の要因
「ハーレーが暴落している」という噂は、ある側面では真実であり、ある側面では誤解を含んだ嘘だといえます。私たちが検索窓に打ち込む「値崩れ」というキーワードの裏側では、実は市場が真っ二つに分断されているのです。
一方は歴史的な高値を維持し続ける「資産としてのハーレー」。もう一方は、一般的なバイクと同じように年々価値が下がっていく「消費財としてのハーレー」。この二つの潮流が混在しているのが現在のマーケットです。ここでは、なぜ一部のモデルで激しい価格下落が起きているのか、その背景にある「正常化」と「選別」のプロセスについて、具体的な要因を解き明かしていきます。
ハーレーブーム終了説のリアルな実態

まず、巷でまことしやかに囁かれている「ハーレーブーム終了」という説についてですが、これは少し極端な物言いかもしれません。しかし、市場環境が激変したことは紛れもない事実です。
時計の針を少し戻してみましょう。2020年から2022年にかけて発生した、いわゆる「コロナバブル」は、2025年の現在、完全に弾けました。当時は世界的なロックダウンによるサプライチェーンの寸断で新車の供給がストップし、一方で「密」を避けられるレジャーとしてバイク需要が爆発しました。
その結果、「新車が買えないなら中古車でいい、いくら出してもいい」というパニック買いが横行し、中古車価格が新車定価を上回るという異常な逆転現象が常態化していたのです。
しかし、2025年現在は新車の供給網も回復し、市場は「正常化」のプロセスを経て、冷静な「選別」のフェーズへと移行しています。「ブームが終了した」というよりは、「異常だった熱狂が冷め、本来あるべき適正価格に戻ろうとしている」と捉えるのが正解でしょう。
実際に、メディアやSNSでは「暴落」という言葉が独り歩きしていますが、全てのモデルが一律に下がっているわけではありません。バブル期に実力以上に過大評価されていたモデルや、投機目的で買い漁られていた車種において、急激な価格の調整(コレクション)が発生しているのです。
この「調整」を「暴落」と混同してしまうと、市場の本質を見誤ることになります。真に価値あるモデルは、この嵐の中でも依然として強固な価格維持力を示しているのですから。
買ってはいけないハーレーの条件

これからハーレーを買おうと思っている方、あるいは乗り換えを検討している方にとって、一番避けたいのは「買った瞬間に価値が激減する」ことですよね。いわゆる「高値掴み」をしてしまい、数年後に売ろうとしたら二束三文になっていた……なんて悲劇は絶対に回避したいものです。
私の長年の観察と現在の市場分析から導き出した、今の市場で「買ってはいけないハーレー」の条件は、明確に「消費財(Consumer Durables)」として扱われているモデルです。
「ハーレーは資産になる」という神話は、すべてのハーレーに当てはまるわけではありません。特に以下の特徴を持つモデルは、資産価値という観点からは慎重になるべきです。
資産価値が下がりやすいモデルの特徴
- 生産台数が非常に多い近年の量産モデル:
希少性がなく、中古市場に在庫が溢れかえっているため、価格競争が起きやすい。 - 「ハーレーらしさ(鼓動感)」が薄いとされる水冷エンジンモデル:
伝統的な空冷エンジンのフィーリングを求めるファン層からの需要が限定的。 - 電子制御が複雑でブラックボックス化しているモデル:
最新技術は魅力的ですが、10年後、20年後に部品供給が止まった際、修理不能になるリスク(=鉄くず化するリスク)を孕んでいます。
これらのモデルは、一般的な日本車や欧州車と同じく、購入直後から減価償却が始まり、年式が古くなればなるほど価値が下落していく曲線を描きます。
「最新の性能を安く楽しむ」という割り切った目的であれば素晴らしい選択肢ですが、「将来的に高く売れるかもしれない」という期待を持って購入すると、痛い目を見る可能性が高いでしょう。
これを知らずにショップへ行くのは危険です。購入後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、絶対に避けるべき地雷モデルの条件を事前にチェックしておいてください。
注意すべきハーレーの中古モデルの実態

では、具体的にどの中古モデルが苦戦を強いられているのでしょうか。データに基づいた実態を見ていきましょう。ここでの「注意すべき」とは、バイクとしての性能の良し悪しではなく、あくまで「リセールバリュー(再販価値)」の観点からの評価です。
1. ストリートファミリー(Street 750 / Street Rod)
インド生産の水冷エンジン「Revolution X」を搭載したストリートファミリーは、現在、最も厳しい値崩れに直面しています。
新車時の価格が比較的手頃だったこともあり、エントリー層に普及しましたが、中古市場では「ハーレー独特のドコドコ感がない」という理由で指名買いが起きにくくなっています。業者間の取引相場を見ても、新車価格からの下落幅が大きく、かなり買い叩かれている印象を受けます。
2. 次世代水冷スポーツスター(Nightster / Sportster S)
伝統的な空冷スポーツスターの後継として華々しくデビューした水冷モデル群(RH975ナイトスターなど)も、意外なほど苦戦しています。
性能は圧倒的に向上しているのですが、ハーレーの中古市場では「性能」よりも「情緒(空冷のフィーリング)」にお金を払うユーザーが圧倒的に多いためです。走行距離が極めて少ない「極上車」であっても、新車価格から大きく乖離した価格で取引されるケースが目立ち始めています。
3. 中型・小型モデル(X350 / X500)
中型免許で乗れるハーレーとして話題のX350やX500も、典型的な「消費財」の動きを見せています。これらは「最初の一台」として消費され、大型免許取得とともに手放されるケースが多いため、中古市場への流入量が多く、需給バランスが崩れやすいのです。
これらのモデルを所有している方は、もし売却を考えているなら「早めの決断」が功を奏するかもしれません。時間が経てば経つほど、減価償却が進んでしまうからです。
最新不人気ランキングの傾向分析

市場のデータ、特に業者間オークションの取引価格や大手中古車サイトの在庫状況を詳細に分析していくと、いわゆる「不人気ランキング」や「値落ちランキング」の上位に入ってしまいがちなモデルには、明確な共通項があることに気づきます。
それは、ハーレーがこれまで培ってきた「情緒」や「歴史」の土俵ではなく、競合他社(BMW、ドゥカティ、国産メーカーなど)と同じ「性能」や「機能」の土俵で勝負してしまっているモデルです。
ハーレーの新戦略が中古市場で空回りする理由
その典型例が、ハーレー初のアドベンチャーツアラーである「パンアメリカ」でしょう。これは誤解してほしくないのですが、パンアメリカ自体は、私が試乗しても驚くほどバイクとしての完成度は非常に高く、素晴らしいエンジンパワーと優れた走行性能を持つマシンです。
しかし、このカテゴリーにはBMWの「GSシリーズ」という、半世紀近くにわたり信頼と実績を積み重ねてきた絶対王者が君臨しています。高性能な電子制御やタフネスさを「最重要視」する層は、迷わずGSを選ぶ傾向が強く、あえてハーレーのアドベンチャーを選ぶ理由が見出しにくいのが現状です。
結果として、以下のような板挟み状態に陥ってしまい、リセールバリューが伸び悩んでいます。
- 「壊れない」「高性能」を追求する層:実績のあるBMWへ流れる。
- 「ハーレーの味わい」を求める従来のハーレーファン:水冷エンジンや複雑な電子制御を「メカメカしすぎる」と敬遠する。
高機能=高リスクと見なされる中古市場の心理
もう一つの大きな値落ち要因は、「複雑な電子制御」に対する中古市場の潜在的な不安です。パンアメリカや新しい水冷スポーツスターに搭載されている高機能な電子制御サスペンションや複雑な走行モード、トラクションコントロールシステムなどは、新車時には大きな魅力です。しかし、中古車購入者にとって、これらは故障した際に修理費用が高額になる「将来の高額な修理リスク」と映ってしまいます。
中古車で電子制御が敬遠される理由
- 診断・修理の難しさ:
専用テスターが必要で、街のバイク屋では対応できないことが多い。 - 部品の供給不安:
ECUなどの基幹部品は、生産終了から年数が経つと部品供給が打ち切られるリスクがある。 - 高額な修理費用:
単純なワイヤー交換と違い、センサーや制御ユニットの交換は数十万円単位の出費になりがち。
特に、ハーレーは「長く乗る文化」があるため、20年後の修理可能性を意識するユーザーが多いです。構造がシンプルで汎用部品が多い旧車に人気が集まるのは、この「修理可能性」という安心感への投資に他なりません。複雑な機構を持つ高年式モデルは、この安心感で劣ってしまうため、入札が慎重になり、相場を押し下げる要因となっています。
不人気車こそ「賢いバーゲンハンター」のターゲット
しかし、私はあえて声を大にして言いたいのですが、これらの「不人気」とされて値崩れしているモデルこそが、「バーゲンハンター(安く高性能なものを買いたい人)」にとっては絶好のチャンスでもあります。
市場評価が低いということは、相対的に「性能の高い高年式車」が格安で手に入るということです。リセールバリューは期待できなくても、以下のようなメリットがあります。
逆転の発想:不人気車の活用メリット
- 圧倒的なコストパフォーマンス:
新車価格から大幅に値落ちしているため、数年落ちの極上車が驚くほど安く手に入る。 - 最新の安全装備:
ABSやトラクションコントロールなど、最新の安全装備が標準で付いている安心感。 - 気にせず乗れる:
カスタムや傷を気にせず、ガンガン乗り潰すことができるため、よりアクティブなハーレーライフが送れる。
「リセールは気にしない、とにかく安く高機能なハーレーに乗り潰すまで乗りたい」という方にとって、ストリートロッドやパンアメリカの中古車は、現在の市場においてコストパフォーマンス最強の選択肢になり得るのです。
あなたのハーレーライフの目的が「資産運用」ではなく「純粋な走行」にあるなら、不人気ランキングは「お買い得ランキング」として機能するでしょう。
ここでは紹介しきれなかった具体的な車種名や、年式ごとの評価については、『ハーレーの不人気ランキング徹底解説!失敗しない中古の選び方』でさらに深掘りしています。これから中古車探しを始める前に、一度目を通しておくことを強くおすすめします。
ハーレーが値崩れしない資産維持モデル
「値崩れ」の話題で暗い気持ちになった方もいるかもしれませんが、安心してください。ここからは光の当たる場所、すなわち価格が全く下がらない、むしろ上がり続けている「化け物」のようなモデルたちのお話です。
ハーレーダビッドソンというブランドの真骨頂は、単なる移動手段を超えて、「走る資産(Runnable Assets)」としての側面を持っている点にあります。ここでは、なぜ特定のモデルだけが金(ゴールド)のように扱われるのか、その秘密に迫ります。
鉄壁の資産価値を持つ車種とは

値崩れという言葉とは無縁の世界に君臨しているのが、1999年以前のモデル、特に「ショベルヘッド(1970-1984)」や「エボリューション(1984-1999)」エンジンを搭載した車両たちです。これらは、もはや中古バイクという枠組みを超えて、アンティーク時計やヴィンテージ家具と同じ「資産クラス」としての地位を完全に確立しています。
日本国内の相場を見ても、ショベルヘッドなどは200万円〜400万円台、エボリューションもモデルによっては新車当時の価格を遥かに超える水準で取引されており、下がる兆候は皆無と言っていいでしょう。
なぜ資産になるのか?最大の理由は「修理可能性」
現代のバイクはブラックボックス化したECU(電子制御コンピューター)に依存しており、半導体チップ一つが壊れれば動かなくなるリスクがあります。対して、ショベルやエボなどの旧車は、機械的な構造が極めてシンプルです。
電子部品に頼らず、物理的な鉄のパーツの組み合わせで動いているため、部品さえあれば(そして社外パーツは無数に存在します)、半永久的に修理・再生が可能なんです。「直せば必ず走る」という永続性の保証こそが、金融商品としての残存価値を支える最大の柱となっています。
最新リセールランキングを公開

ここまで「古いハーレーこそが資産だ」というお話をしてきましたが、読者の皆さんの中には「旧車が良いのは理屈では分かったけど、やっぱり故障が怖い」「ツーリング先で止まるのは勘弁してほしい」という現実的な不安を持つ方も多いでしょう。
安心してください。新しいモデル、いわゆる「高年式車」の中にも、驚異的なリセールバリューを誇るモデルは確実に存在します。2025年現在、現行モデルや高年式車の中で、他の追随を許さない圧倒的な資産価値を見せつけているのが、メーカー純正のファクトリーカスタムモデルである「CVO(Custom Vehicle Operations)」シリーズです。
高年式・高リセールモデルTOP3(2025年版)
| 順位 | モデル名 | 推定買取相場 | 高リセールの決定的理由 |
|---|---|---|---|
| 1位 | CVO ロードグライドST (FLTRXSTSE) | 580万 〜640万円 | ハーレー史上最大級の「M8 121ci」エンジンを搭載。 パフォーマンスバガーというトレンドのど真ん中にあり、 富裕層からの指名買いが殺到中。 |
| 2位 | CVO ストリートグライド (FLHXSE) | 450万 〜520万円 | 新型フェアリングとインフォテインメントシステムを 採用したツーリングモデルの頂点。 新車価格が高額なため、中古市場での需要も底堅い。 |
| 3位 | FLSTF ファットボーイ (特定年式・仕様) | 高値安定 (要査定) | 映画『ターミネーター2』の文化的アイコンとしての地位が不動。 「ハーレー=ファットボーイ」という認知度は世界共通で、 流行り廃りに影響されない強さがある。 |
※相場は2025年時点の独自調査および業者間オークションデータに基づく目安であり、車両の状態や走行距離により変動します。
なぜ「CVO」だけが別格の強さを誇るのか?
通常、高額なラグジュアリー商品は、購入直後に大きく価値が下がるのが常です。しかし、CVOシリーズに関してはその常識が通用しません。その背景には、単なる「高級バイク」という枠を超えた、以下のような特殊な市場構造があります。
CVOが資産防衛になる3つの理由
- 圧倒的な希少性(Supply):
CVOは生産台数が厳格に制限されており、ディーラーに入荷する台数もごくわずかです。「欲しくても新車が手に入らない」という状況が常に発生しているため、中古市場でもプレミア価格が維持されます。 - 職人技による特別感(Quality):
専用の「121キュービックインチ(約1,977cc)」エンジンや、職人が手作業で仕上げる何層もの塗装は、量産モデルとは明確に差別化されています。この「工芸品」としての側面が、所有欲を満たし続けています。 - 富裕層の「動産」としての需要(Demand):
ここが非常に重要なポイントですが、CVOを購入する層は、景気動向に左右されにくい富裕層がメインです。彼らにとってCVOは、楽しみながら所有できる「現物資産(動産)」であり、値崩れを恐れる富裕層が資産防衛の一環としてCVOを選んでいるという側面すらあるのです。
文化遺産としての「ファットボーイ」
CVO以外で唯一、安定した強さを見せているのが「ファットボーイ」です。これは性能云々ではなく、完全に「アーノルド・シュワルツェネッガー」と『ターミネーター2』という最強のブランドイメージに守られています。
時代がどう変わろうとも、「あの映画に出ていたバイクに乗りたい」という純粋な憧れは消えることがありません。特に、ディッシュホイール(お皿のようなホイール)を履いたモデルは指名買いが絶えず、CVOのような特別仕様車でなくとも、驚くほど高いリセールバリューを維持し続けています。「知名度こそが資産価値」という稀有な例と言えるでしょう。
ビンテージハーレーが値上がりの謎

ここで一つの疑問が浮かびます。なぜ、40年も50年も前の、現代のバイクに比べれば性能も劣るビンテージハーレーの値上がりが止まらないのでしょうか。普通なら「ただの古いポンコツ」としてスクラップになってもおかしくないはずです。
ここには、現代社会特有の「不便益」の再評価と「洗練のパラドックス」という面白い現象が起きています。
メーカーは技術革新により、振動を消し、静粛性を高め、壊れにくく快適なバイクを作ろうと努力します。しかし、皮肉なことに、ハーレーのコアなファンはその「快適さ」を求めていなかったりします。エンジンの激しい振動、ガソリンの匂い、手のかかるメンテナンス、ダイレクトな機械音。そういった、現代の工業製品が排除してきた「ノイズ」や「不快」な部分にこそ、人間味や操る喜びを見出しているのです。
デジタル化が進み、何もかもが便利で清潔になった現代社会において、汗と油にまみれるビンテージハーレーは、強烈なアンチテーゼとして機能しています。現代人が失った「野生」や「ロマン」をお金で買おうとした結果、供給の限られたビンテージハーレーに需要が集中し、価格が高騰しているのだと私は分析しています。
ビンテージハーレーの世界にもっと深く浸かりたいなら、相場から維持費のリアルまでを網羅したこちらの記事がバイブルになります。購入前にぜひ一読を。
ハーレーの値上がり理由を徹底解説

情緒的な理由だけでなく、もっとドライな市場原理による値上がり理由もあります。そのキーワードは「絶版」と「円安」です。
特に2021年に発表された「空冷スポーツスターの生産終了」は、市場に激震を走らせました。「もう二度と、新車で空冷のスポーツスターは手に入らない」という事実が確定した瞬間、市場にあった中古車の争奪戦が始まったのです。
絶版が引き起こすプレミアム化
特に、2003年までの「リジットマウント(エンジン直付け)」モデルや、2006年までの「キャブレター最終」モデルは、その希少性からカルト的な人気を誇ります。ダイナファミリーも同様で、2017年を最後に消滅した「二本サス」のフレーム構造は、今や喉から手が出るほど欲しいお宝となっています。
円安と海外流出
また、日本国内の中古ハーレー市場は、海外バイヤーの標的になっています。日本人はメンテナンスをマメに行い、車検制度もしっかりしているため、日本の中古車(Used in Japan)は世界で最も状態が良いとされています。円安が進むと、海外の業者から見て日本のハーレーは「激安の極上車」に見えます。その結果、良質な車両がアメリカ本国やオーストラリア、アジア諸国へ輸出されてしまい、国内の流通量が減ることで、さらなる価格上昇を招いているのです。
この値上がりはいつまで続くのか

皆さんが一番気になるのは、「この値上がりバブルはいつまで続くのか? いずれ暴落するのではないか?」という点ではないでしょうか。未来のことを100%当てることは誰にもできませんが、私の個人的な見解としては、「空冷・キャブ・絶版車」に関しては、今後も大きく下がる要素が見当たりません。
理由は単純で、供給が増えることは二度とないからです。時間は不可逆であり、状態の良い個体は事故や劣化で年々減っていきます。一方で、世界的なインフレ傾向や、ガソリン車自体が希少になっていく2030年代に向けての時代の流れを考えると、「内燃機関の遺産」としての価値は高まる一方でしょう。
ただし、投機的なマネーが入って異常に高騰していた一部の車種(例えば、一時期1000万円を超えたような特定の希少車など)については、熱が冷めて価格調整が入る可能性はあります。しかし、実需に基づいた人気モデル(エボのソフテイルやリジットスポスタなど)は、底堅い動きを続けるはずです。
今後価値の上がるハーレーを予測

暴落するモデルと、すでに高騰してしまった資産モデルの二極化が進む中で、我々が次に狙うべきはどこでしょうか?私が個人的に「ネクスト・ブレイク」な資産価値を持つと予測し、密かに注目しているのは、「ツインカム(Twin Cam)エンジン」を搭載した世代、具体的にはTC88(1999〜2006年頃)およびTC96(2007〜2016年頃)のソフテイルやダイナモデルです。
エボリューションエンジン以前の車両は、もはや価格が上がりすぎて、一般のライダーにとっては手が出しにくい領域に突入しています。そうなると市場の需要は、次に「価格とフィーリングのバランスが取れた世代」へと移動するのは必然です。その受け皿となるのが、まさにこのツインカム世代だと私は考えています。
なぜ「ツインカム」が値上がりのポテンシャルを秘めているのか?
ツインカム世代が将来的に価値を上げるであろう理由は、単なる「古い」というだけでなく、絶妙なバランスの上に成り立っています。
ツインカム世代の三大魅力と資産性
- 鼓動感と信頼性の両立:
エボリューションの持つ「ハーレーらしいドコドコ感」を色濃く残しつつも、エンジンの耐久性や信頼性は格段に向上しています。安心して長距離ツーリングを楽しめる点が大きな魅力です。 - カスタムベースとしての優位性:
現行のミルウォーキーエイト(M8)モデルに比べ、電子制御が比較的シンプルで、カスタムの自由度が非常に高いです。特にダイナファミリーは、パフォーマンス系カスタムのベースとして世界的に再評価され始めています。 - キャブレターモデルの希少性:
特に狙い目なのが、「キャブレター仕様のツインカム88(TC88)」です。キャブレター特有のレスポンスと、自分で調整できる機械的なシンプルさが高く評価されており、最終キャブモデルとして今後エボリューションと同じ道を辿る可能性が高いです。
このツインカム世代は、現在もっともコストパフォーマンスが高い「スイートスポット」に位置しています。まだエボリューションほどのプレミア価格は付いておらず、状態の良い個体が中古市場に流通しています。
ツインカムの中でも狙うべき具体的なモデル
ツインカム世代の中でも、特に将来的な値上がりが期待できる具体的なモデルをいくつかピックアップしました。
| ファミリー | 狙い目モデル | 注目すべき理由 |
|---|---|---|
| ソフテイル | FXSTD デュース | 独創的なデザインで生産期間が短く、希少性が高い。 |
| ダイナ | FXDX/T スーパーグライドスポーツ | 高性能サスを搭載したスポーツモデル。 パフォーマンスカスタムのトレンドで価格が高騰中。 |
| ダイナ | FXDWG ワイドグライド | 最終型のロングフォークスタイルは根強い人気があり、 中古市場での奪い合いが顕著。 |
特に「FXDX/T スーパーグライドスポーツ」は、アメリカのストリートカルチャーで再評価されており、中古価格が異常な上がり方を見せています。これは、ツインカムダイナが「乗って楽しい高性能ハーレー」としての地位を確立し始めた明確なサインです。
今後の市場予測と賢い購入戦略
私の予測では、エボリューションが完全にコレクターズアイテム化し、手が届かない価格帯になった時、次の「乗って楽しめる旧車」としてツインカムに需要が雪崩れ込み、相場が一気に上昇する日が来ると確信しています。これは、経済的な側面だけでなく、ハーレー文化の継承という側面からも非常に自然な流れです。
もしあなたが「今すぐハーレーの雰囲気を楽しみつつ、将来的なリセールも期待したい」と考えているなら、ツインカム初期の良質なキャブレターモデルを探すことが、最も賢明な購入戦略だと言えるでしょう。
ただし、ツインカム初期には「カムテンショナー」などの弱点もありますので、購入後の整備記録をしっかりと確認することが、失敗しないための絶対条件です。
ここで触れたツインカム世代以外の「ネクスト・ブレイク車種」も含め、今後価値が上がるハーレーの全予測をこちらの記事で詳しく解説しています。将来を見据えた車種選びの参考にしてください。
ハーレーの値崩れを回避するまとめ
ここまで、ハーレー値崩れの実情と、逆に価値を維持し続けるモデルの秘密について、長々とお話ししてきました。最後に、賢くハーレーと付き合うためのポイントをまとめます。
結局のところ、リセールバリューを最優先にするのであれば、鉄則は一つです。「みんなが欲しがるけれど、もう二度と作られないもの」を選ぶこと。具体的には、空冷エンジン、絶版ファミリー、そしてCVOのような限定モデルです。
しかし、忘れないでほしいのは、値崩れしているモデルが決して「悪いバイク」というわけではないということです。リセールを気にせず、安く手に入れた水冷ハーレーを自分好みにカスタムして、ガンガン走り回る。それもまた、ハーレーダビッドソンの素晴らしい楽しみ方の一つです。
市場の動きを正しく理解した上で、資産性を取るか、実用性を取るか。ご自身のライフスタイルと価値観に合った「最高の一台」を見つけてください。ハーレーは、あなたの人生を間違いなく豊かにしてくれる相棒ですから。
※本記事の情報は2025年12月時点の市場動向および独自の取材に基づいた見解です。実際の売買価格を保証するものではありません。最終的な投資判断や売買契約については、専門ショップにご相談の上、自己責任で行ってください。

