ハーレーで二人乗りを楽しむための車種選びと快適カスタムを徹底解説

こんにちは。高級モトクラブ、運営者の「A」です。

ハーレーダビッドソンという鉄の馬を手に入れたとき、多くのオーナーが心に描く夢の一つ。

それは、大切なパートナーを後ろに乗せて、鼓動感と風を共有する「二人乗り(タンデムツーリング)」ではないでしょうか。一人で気ままに走る自由も格別ですが、感動をその場で分かち合える喜びは、何物にも代えがたい体験です。

しかし、実際にハーレー二人乗りを始めようとすると、「私の免許で今すぐ乗れるのかな?」「この車両、車検証を見たら定員1名になってるけど大丈夫?」「後ろに乗る人が怖がらないか心配」といった、現実的な疑問や不安が次々と湧いてくるものです。

特に中古車市場で流通しているハーレーは、前のオーナーの好みで「一人乗り仕様」にカスタムされていることが多く、そのままでは法律違反になってしまうケースも少なくありません。

この記事では、二人乗りデビューに必要な法的な知識や手続きのいろは、構造変更にかかる費用の目安、そして同乗者に「また乗りたい!」と思ってもらえるための快適なシートや背もたれのおすすめアイテムまで、私自身の失敗談や経験も交えながら徹底的に解説していきます。

本記事のポイント
  • 公道や高速道路で安全に二人乗りを行うための法的要件と禁止エリア
  • 1名乗車から2名乗車へ変更するための構造変更検査の手順と費用
  • 同乗者の疲労を劇的に軽減するシート選びとサスペンション調整
  • 二人乗りでも安定して走れるハーレーのおすすめ車種と特性
目次

ハーレーの二人乗りに必須の条件と手続き

ハーレーで二人乗りを楽しむためには、まず何よりも「法律(コンプライアンス)」と「車両の状態(安全性)」が適正でなければなりません。

「ちょっとそこまでだから」という軽い気持ちでルールを破ってしまうと、楽しいはずのツーリングが違反切符や事故という最悪の結果を招いてしまいます。

ここでは、ハーレーオーナーとして必ず押さえておきたい、公道を堂々と走るための基礎知識と手続きを深掘りして整理しましょう。

ハーレーダビッドソンの法的要件

ハーレーで二人乗りを楽しむための車種選びと快適カスタムを徹底解説:ハーレーダビッドソンの法的要件
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まず大前提として、大型二輪免許を取得してハーレーを購入したその日から、すぐに二人乗りができるわけではありません。

道路交通法では、運転者の技術や経験が未熟な状態での二人乗りは危険であると判断されており、運転経験年数に関して非常に明確かつ厳格なルールが設けられています。

運転者に求められる法的条件

  • 一般道での二人乗り:
    大型自動二輪免許、または普通自動二輪免許を取得していた期間が、通算して1年以上であること。
  • 高速道路での二人乗り:
    年齢が20歳以上であり、かつ大型自動二輪免許または普通自動二輪免許を取得していた期間が、通算して3年以上であること。

ここで重要なのが、いわゆる「免歴(免許保有歴)」の計算方法です。「先週、教習所を卒業して大型免許を取ったばかりだから、まだ1年はダメか…」と諦めるのは早計かもしれません。

もしあなたが、それ以前に中型(普通自動二輪)免許を保有しており、その期間が長ければ、その期間も通算してカウントされるからです。

つまり、中型免許で3年以上の実績があれば、大型免許取得直後のハーレーであっても、法的には高速道路での二人乗りが可能となります(出典:警察庁『高速道路でのオートバイの二人乗りについて』)。

ただし、条件を満たしていても絶対に二人乗りをしてはいけない場所が存在します。それが「首都高速道路の都心環状線(C1)」をはじめとする、一部の二人乗り禁止区間です。

これらの道路は昭和30年代などに建設された箇所が多く、カーブの半径が極端にきつかったり、合流が左右から頻繁にあったりと、構造的に二輪車の二人乗りには危険すぎると判断されています。

「知らなかった」では済まされませんので、ツーリングのルートを決める際は、ナビアプリの設定だけでなく、道路標識にも十分に注意を払ってください。

中古車購入時の定員確認ポイント

ハーレーで二人乗りを楽しむための車種選びと快適カスタムを徹底解説:中古車購入時の定員確認ポイント
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念願のハーレーを中古で購入した際、あるいは個人売買で譲り受けた際に、最も見落としがちなのが「車検証の記載事項」です。

実車を見ると立派なタンデムシートやステップが付いているため、「当然二人乗りできるものだ」と思い込んでしまうのですが、ここに大きな落とし穴があります。

前のオーナーが「自分は一人でしか乗らないから」と、税金対策やスタイル重視で構造変更を行い、車検証の乗車定員を「1名」に変更しているケースが意外に多いのです。

この状態で二人乗りをして公道を走行すると、たとえ物理的に乗れたとしても、警察の取り締まりを受ければ「定員外乗車」として道路交通法違反(反則金・減点対象)となります。

しかし、違反切符以上に恐ろしいリスクがあります。それは「万が一の事故の際、任意保険が適用されない可能性が高い」という点です。

保険会社との契約はあくまで「法令を遵守していること」が前提となるケースがほとんどです。定員外乗車は重大な過失とみなされ、同乗者の怪我に対する補償が下りないとなれば、あなたの人生だけでなく、大切なパートナーの人生も狂わせてしまいかねません。

納車されたら、まずは車検証の「乗車定員」の欄に「2人」と記載されているか、必ずご自身の目で確認してください。

1名から2名への登録変更手順

ハーレーで二人乗りを楽しむための車種選びと快適カスタムを徹底解説:1名から2名への登録変更手順
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もし手に入れたハーレーの車検証が「定員1名」だったとしても、絶望する必要はありません。「構造変更検査」という手続きを経て、国に車両の状態を認めてもらえれば、正規に「定員2名」に戻すことが可能です。

この検査は、単なる書類の書き換えではなく、実際に車両を運輸支局(車検場)に持ち込み、検査官による厳格なチェックを受ける必要があります。

検査に合格するための絶対条件、いわば「三種の神器」となるのが以下の装備です。これらが「恒久的かつ確実」に固定されている必要があります。

スクロールできます
必須装備検査基準と注意点
① 座席(シート)大人一人が十分に座れる面積があること。
簡易的な吸盤式ピリオンシートや、簡単に外れてしまうものは認められません。
ボルト等で車体に固定されている必要があります。
② 足置き(ステップ)同乗者の足が安全に乗せられるステップが、
フレームやスイングアームなどに強固に固定されていること。
可倒式であっても問題ありませんが、グラグラしていないことが条件です。
③ 握り手(グラブバー等)同乗者が姿勢を安定させるために掴む装置。シートに巻き付けられたタンデムベルト、
車体側のグラブバー、あるいはシーシーバー(背もたれ)などが該当します。
強度が不足していると不合格になります。

特に注意したいのが、スポーツスターやブレイクアウトなどのカスタム車両です。

スタイリングを優先してリアフェンダーをショート化している場合、二人乗りの重量にフェンダーの強度が耐えられないと判断され、検査に通らないことがあります。

この場合は、サブフレームの追加など、より大掛かりな加工が必要になることもあります。

2人乗りに構造変更の費用とタイミング

ハーレーで二人乗りを楽しむための車種選びと快適カスタムを徹底解説:2人乗りに構造変更の費用とタイミング
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では、実際に構造変更を行う場合、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。手続き自体にかかる法定費用(審査証紙代・検査登録印紙代)は、実は数百円〜2,000円程度と非常に安価です。

しかし、これはユーザー自身が平日昼間に運輸支局へ持ち込み、複雑な書類作成とライン検査を自力で行った場合の金額です。

一般的には、ハーレーのプロショップに代行を依頼することになります。その場合、書類作成費用や代行手数料として、2万円〜5万円程度(パーツ代別)を見ておくのが相場です。

「高いな」と感じるかもしれませんが、確実な整備と検査合格を保証してもらえる安心料と考えれば、決して高くはありません。

【超重要】構造変更を行うベストなタイミングは?

構造変更には一つ、非常に大きな注意点があります。それは「構造変更検査に合格すると、その時点から新しく2年間の車検期間がスタートする」というルールです。

例えば、車検がまだ1年半も残っている状態で構造変更を受けると、残っている1年半分の重量税や自賠責保険料は基本的に戻ってきません。つまり、単純に捨ててしまうことになります。

そのため、経済的に最も賢いのは「次回の継続車検(車検満了月)のタイミングに合わせて、構造変更検査を同時に行う」ことです。

これなら無駄なコストを一切かけずに、仕様変更を行うことができます。もし車検がたっぷり残っている場合は、どうしても今すぐ二人乗りが必要か、それとも次の車検まで待つか、ショップと相談して決めることをおすすめします。

安全性を確保するカスタムの基本

ハーレーで二人乗りを楽しむための車種選びと快適カスタムを徹底解説:安全性を確保するカスタムの基本
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法的な手続きが完了したら、次は車両の「中身」を二人乗り仕様にチューニングする必要があります。ハーレーは鉄の塊で頑丈そうに見えますが、300kg〜400kgの車体に、さらに大人一人分の体重(約50kg〜80kg)が加わると、運動性能は劇的に変化します。

最も影響を受けるのが「サスペンション」です。一人乗り設定のまま二人乗りをすると、リアサスペンションが沈み込みすぎてしまい、キャスター角が寝てハンドリングが曲がりにくくなる「アンダーステア」が発生します。

さらに、段差を乗り越えた際にサスペンションが底まで縮みきる「底付き(バンプタッチ)」が起き、ガツン!という強烈な衝撃が同乗者の腰を直撃します。

サスペンションのプリロード調整

これを防ぐためには、リアサスペンションの「プリロード(バネの初期荷重)」を強めに設定する必要があります。

最近のソフテイルモデルなどには、工具を使わずに手で回せる「油圧式プリロードアジャスター」が付いている車種もあります。二人乗りの時はこれを締め込み、一人乗りの時は緩める。このひと手間を惜しまないことが、安全で快適な走行への第一歩です。

タイヤの空気圧調整

意外と忘れがちなのがタイヤの空気圧です。荷重が増える分、タイヤのたわみも大きくなるため、二人乗り時はメーカー指定の規定値(通常、一人乗り時より高めに設定されています)まで空気圧を上げる必要があります。

空気圧不足での二人乗りは、タイヤの偏摩耗やバーストのリスクを高めるだけでなく、燃費やハンドリングの悪化にも直結します。

同乗者を守る熱対策

また、ハーレー特有の問題として「エンジンの熱」があります。特にマフラーが高い位置を通っている車種や、右側に張り出している車種では、信号待ちなどで同乗者の足がエキゾーストパイプに触れ、火傷をする危険性が非常に高いです。

ライダーはブーツやチャップスで防備していますが、同乗者がスニーカーや薄手のパンツの場合、一瞬触れただけでも大怪我になります。これを防ぐため、カーボン製のヒートガードを追加したり、マフラーに断熱バンテージを巻くといった物理的な対策も検討してください。

ハーレーの二人乗りを快適にする装備

法律と安全の土台ができたら、いよいよ「おもてなし」の準備です。ハーレーのリアシートは、車種によっては「座布団のようなもの」程度しかなく、長時間の走行には耐えられないものも存在します。

パートナーに「もう二度と乗りたくない」と言われないためにも、快適性を向上させる装備にはしっかりと投資しましょう。

二人乗りに最適なおすすめ車種

ハーレーで二人乗りを楽しむための車種選びと快適カスタムを徹底解説:二人乗りに最適なおすすめ車種
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これからハーレーを購入、あるいは乗り換えを検討している方にとって、どのモデルが二人乗りに適しているかは重要な判断基準です。

結論から言えば、ハーレーのラインナップにおけるタンデム適性は、ファミリー(シリーズ)ごとに明確な序列があります。

最強の快適性:ツーリングファミリー

ウルトラリミテッド(FLHTK)やロードグライドリミテッド(FLTRK)といったツーリングモデルは、まさに「走るソファ」です。

分厚いキングツアーパック(背もたれ付きトップケース)、アームレスト、スピーカー、そして重量増をものともしないエアサスペンション(または高機能ショック)を標準装備しており、同乗者は走行中に居眠りをしてしまうほどの快適さを享受できます。

バランスの良い選択:ソフテイルファミリー

ヘリテイジクラシック(FLHCS)は、大型のウィンドシールドとサドルバッグ、そして比較的厚みのあるシートを備えており、二人乗りの評価が非常に高いモデルです。

一方で、ブレイクアウト(FXBR)やファットボブ(FXFBS)などのスタイル優先モデルは、純正状態ではシートが小さく、サスペンションも硬めな設定のため、長距離の二人乗りには後述するカスタムが必須となります。

スポーツスターでの二人乗りは「覚悟」と「工夫」が必要

人気の高いスポーツスター(XL883/1200)や、最新のナイトスター(RH975)、スポーツスターS(RH1250S)ですが、これらは「スポーツ」の名が示す通り、軽量で軽快な走りを重視した設計です。

そのため、車体がコンパクトで同乗者との距離が近く、サスペンションのストローク量も短いため、路面からの衝撃を拾いやすい傾向にあります。これらのモデルで快適に二人乗りを楽しむには、シートの交換や高性能サスペンションへの換装など、相応のコストと工夫が必要になることを覚えておいてください。

疲れないシート選びのポイント

ハーレーで二人乗りを楽しむための車種選びと快適カスタムを徹底解説:疲れないシート選びのポイント
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「お尻が痛い」という訴えは、タンデムツーリングにおける最大の敵です。しかし、痛みの原因は単にクッションが硬いからではありません。

多くのハーレー純正ピリオンシート、特にスタイル重視のモデル(スポーツスターやストリートボブ等の標準装備)は、車体の美しいラインを崩さないために「幅が狭く」「薄く」「後方がなだらかに下がっている」傾向があります。

これでは、ハーレー特有の力強いトルクで加速するたびに、同乗者のお尻は後ろへ、後ろへと滑っていきます。

同乗者は無意識のうちに太ももを締め、手でグラブバーを強く握りしめて姿勢を維持しようとするため、わずか数十分で全身が強張ってしまうのです。 景色や会話を楽しむ余裕を生む、本当に疲れないシート選びには、以下の3つの「絶対条件」が存在します。

1. 座面の幅(Width):坐骨を包み込む「面」の確保

最も重要なのは、お尻の骨(坐骨)がシートからはみ出さないことです。 スタイリッシュな細いシートは、体重が坐骨という「点」に集中してしまうため、血流が悪くなりすぐに痛みが発生します。

快適なシートは、同乗者のお尻全体を「面」で支える十分なワイド幅を持っています。体圧を分散させることで、長時間のライディングでも局所的な痛みを防ぎます。見た目のスマートさよりも、物理的な表面積を優先することが快適への第一歩です。

2. 座面の角度(Shape):加速Gを受け止める「アンカー効果」

ここが見落とされがちなポイントです。平らなシートや後ろ下がりのシートは、ハーレーの加速Gに対して無防備です。 理想的なのは、座面の前方が盛り上がっているか、全体がカップ状(バケット形状)にお尻を包み込むデザインです。

この形状が「アンカー(錨)」の役割を果たし、加速時にお尻が後ろへずれるのを物理的にブロックします。同乗者が足や腕で踏ん張る必要がなくなるため、疲労感は劇的に軽減されます。

3. 素材の密度(Density):柔らかさよりも「コシと減衰力」

「指で押してフカフカするシート」が良いシートとは限りません。柔らかすぎるスポンジは、座った瞬間に底付き(シートベースの硬さを感じること)を起こし、路面からの衝撃をダイレクトに伝えてしまいます。

必要なのは、高密度のウレタンフォームや、医療用にも使われる体圧分散ゲル(GEL)素材です。 これらは「コシ」があり、体重をしっかり受け止めつつ、ハーレー特有の微振動や路面のギャップを吸収・減衰させるサスペンションのような役割を果たします。

選定のアドバイス

シートを選ぶ際は、可能であれば実物を横から見てください。「パッセンジャー側の座面が地面と平行、もしくはわずかに前下がり」になっているものが、加速時のズレを防ぐ優秀なシートです。

快適なタンデムシートのおすすめ

ハーレーで二人乗りを楽しむための車種選びと快適カスタムを徹底解説:快適なタンデムシートのおすすめ
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理論的な選び方が分かったところで、では具体的に「どのモデルを選べば正解なのか」という疑問にお答えします。

市場には無数のシートが存在しますが、パッセンジャーの快適性を最優先に考えた場合、実績と信頼性で選ぶべき選択肢は以下の3つの方向性に絞られます。

1. 王道にして最強「ハーレー純正 サンダウナー・シート (Sundowner Seat)」

「どれが良いか迷ったらこれを選べ」と断言できるのが、ハーレーダビッドソン純正オプションのサンダウナーです。 その名の通り「日が暮れる(Sundown)まで走り続けられる」ことをコンセプトに開発されました。

  • 圧倒的な座面確保:
    パッセンジャー側の幅が非常に広く取られており、見た目のスマートさよりも「座り心地」に全振りした設計です。
  • 純正ならではのマッチング:
    社外品で起こりがちな取り付けのズレがなく、車体の設計思想に基づいたクッション硬度が設定されています。
  • デメリット:
    快適性と引き換えにボリュームが出るため、チョッパースタイルなどのスリムなシルエットは崩れます。しかし、ロングツーリング時の「家族の笑顔」を守るための最良の投資です。

2. ハイテク素材で疲労を消す「Saddlemen (サドルマン)」

近年、クラブスタイルやスピードクルーザーの流行と共に爆発的な人気を誇るのがアメリカのSaddlemenです。単なる流行りではなく、そこには確かなテクノロジーがあります。

最大の特徴は、独自技術の「Gel-Core(ゲルコア)」です。これは医療グレードのゲル素材とウレタンフォームを組み合わせたもので、以下のメリットがあります。

  • 微振動の遮断:
    エンジンや路面からの高周波の微振動(ビリビリ感)をゲルが吸収します。これにより、長時間乗車時の「お尻の痺れ」や「血行不良」を劇的に軽減します。
  • しっかりとした硬さ:
    純正シートよりも硬めの味付けですが、沈み込みすぎないため、長距離でも腰が安定します。

3. アメリカン・ソファの座り心地「Mustang (マスタング) / LePera (ラペラ)」

老舗ブランドも負けていません。特にツーリングモデルで絶大な支持を得ているのがMustangです。 「Wide Touring」シリーズなどは、まさにアメリカン・ソファのような包容力があり、パッセンジャーを優しくホールドします。クッションに厚みがあり、どっしりと構えて走るスタイルに最適です。

一方、LePeraは美しいデザインと快適性のバランスが絶妙です。特に「Maverick」や「Sorrento」といったモデルは、美しい流線型を保ちながらも、腰をサポートするバックレスト効果が高く、スタイリッシュにタンデムを楽しみたい方におすすめです。

🏁 結論:選び方の基準

  • 絶対的な快適性とコストパフォーマンスを求めるなら
    → 純正サンダウナー
  • スポーティーな見た目と振動吸収(機能性)を両立させるなら
    → Saddlemen
  • クラシックな重厚感とソファのような座り心地を好むなら
    → Mustang

これらを基準に選べば、まず間違いなく「お尻が痛い」というクレームから解放されるでしょう。

タンデムシートの背もたれの効果

ハーレーで二人乗りを楽しむための車種選びと快適カスタムを徹底解説:タンデムシートの背もたれの効果
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もしお客様に「予算の都合で、二人乗りのためにたった一つしかパーツを買えないとしたら何を選ぶ?」と問われたら、私は0.1秒の迷いもなく「シーシーバー(バックレスト)」と即答します。

シートの座り心地も大切ですが、それ以上に「背もたれの有無」は、同乗者の恐怖心と疲労度を天と地ほどに変えてしまうからです。

1. 「いつ振り落とされるか」という恐怖からの解放

車と違い、バイクの乗員は体がむき出しです。特にハーレーダビッドソンは低回転からのトルク(押し出す力)が強烈です。信号待ちからの発進や、追い越し加速の際、同乗者の体には慣性の法則で強い「後ろ向きの力」がかかります。

背もたれがない場合、同乗者はこのG(重力加速度)に耐えるために常に腹筋を緊張させ、ライダーの腰に腕を回して必死にしがみつく必要があります。

これは同乗者にとって「手を離したら後ろに転がり落ちる」という本能的な恐怖との戦いです。これでは景色を楽しむどころか、目的地に着く頃には心身ともにヘトヘトになってしまいます。

2. 加速Gを「背中」で受け止める快適性

ここに背もたれ(バックレストパッド)が一つあるだけで、状況は劇変します。 加速時の強い力がすべて背もたれに吸収されるため、同乗者は以下のようなメリットを享受できます。

  • 脱力できる:
    腕や足で踏ん張る必要がなくなり、ソファに座っているようなリラックス状態で乗車できます。
  • 視界が広がる:
    恐怖心からライダーの背中に顔を埋める必要がなくなり、顔を上げて周りの景色を楽しむ余裕が生まれます。
  • 姿勢の安定:
    ブレーキング時はライダーの背中で、加速時はシーシーバーで体を支えることで、加減速のたびにヘルメットがぶつかる「コツン」という不快な現象も減らせます。

3. スタイルを犠牲にしない「デタッチャブル」の魔術

ハーレー乗りの中には「シーシーバーをつけると、チョッパーらしいスリムなシルエットが崩れる」と敬遠される方もいます。 しかし、現代のハーレー純正パーツには「デタッチャブル(着脱式)システム」という素晴らしい機構があります。

ドッキングハードウェアという小さな金具さえ車体に付けておけば、シーシーバー本体は工具なし、わずか数秒で取り外しが可能です。 ソロで走る時は何も付けずにスタイリッシュに、週末のデートツーリングの時だけ「カチャン」と装着する。この使い分けこそが、スマートなハーレーライフの秘訣です。

重要なマインドセット


同乗者の安心感は、そのままライダーへの「信頼感」に直結します。 背もたれを用意することは、大切なパートナーへの最大のマナーであり、優しさです。ここは絶対にケチらずに投資すべき最優先ポイントと言えるでしょう。

安定するタンデムステップの条件

ハーレーで二人乗りを楽しむための車種選びと快適カスタムを徹底解説:安定するタンデムステップの条件
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最後に、意外と見落とされがちなのが足元の装備、「タンデムステップ」です。多くのモデルで標準装備されているのは、細い棒状のペグタイプです。これでも機能は果たしますが、長時間足を乗せていると、靴底の一点に力が集中し、足の裏が痛くなってきます。

より快適性を追求するなら、面で足を支える「フットボード(フロアボード)」タイプへの交換を強くおすすめします。足の裏全体をボードに乗せることができるため、踏ん張りが利きやすく、走行中に足の位置を前後させて姿勢を変えることも容易になります。

これにより、エコノミークラス症候群のように血流が滞るのを防ぎ、疲労を大幅に軽減できます。

また、カスタムパーツの中には、ステップの位置を数センチ延長したり、角度を調整できる「エクステンション」類も販売されています。同乗者の身長や足の長さに合わせてポジションを微調整してあげることも、優しいライダーの心遣いと言えるでしょう。

安全なハーレーの二人乗りのまとめ

ハーレーダビッドソンでの二人乗りは、単なる移動手段ではありません。それは、風の匂い、エンジンの鼓動、移ろいゆく景色といった非日常の体験を、大切な人とリアルタイムで共有できる素晴らしい冒険です。

しかし、その最高の体験は、「法令遵守」という土台と、「安全マージン」の確保、そして同乗者への「思いやり(快適装備)」があって初めて成立するものです。無理な運転や準備不足の車両では、楽しいはずの思い出が恐怖の記憶になってしまいかねません。

今回ご紹介した法的な知識や構造変更の手順、そしてシートやシーシーバーといったアイテムを参考に、ぜひあなたの愛車を「世界一快適なタンデム仕様」に仕上げてください。

しっかりと準備を整えたハーレーなら、パートナーもきっと笑顔で「次はどこに行く?」と言ってくれるはずです。

※本記事の情報は執筆時点の一般的なガイドラインに基づいています。構造変更の細かな基準や最新の道路交通法、車両ごとの適合については、必ず管轄の運輸支局や、信頼できるハーレー正規ディーラー・プロショップにご相談の上、最終的な判断を行ってください。

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運用者プロフィール

バイク歴10年。 愛車はハーレー。「カタログよりもリアルな情報を」をモットーに、維持費の実態から故障トラブル、カスタムの楽しみ方まで、オーナーの実体験に基づいたノウハウを発信しています。 初心者の方が後悔しないバイクライフを送れるよう、全力でサポートします!

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