ハーレーのウインカースイッチ完全ガイド!故障診断から交換方法まで

こんにちは。高級モトクラブ、運営者の「A」です。

憧れのハーレーを手に入れたものの、国産車とは全く異なるウインカーの操作に戸惑っている方は多いのではないでしょうか。私も最初は右左折のたびに手元を確認してヒヤヒヤした経験があります。

特にハーレーのウインカースイッチに関する故障や不具合に直面したときや、自分の手のサイズに合わせて延長などのカスタムを考えたとき、専門的な情報が少なくて困ってしまいますよね。

この記事では、独特な操作体系を持つハーレーのウインカーについて、仕組みの基礎からモジュールの役割、さらにはLED化に伴うハイフラ現象の対策まで、私の経験を交えて詳しくお話しします。

また、操作性を劇的に向上させるスイッチキャップの交換方法や移設のルールなど、愛車をもっと快適に楽しむための具体的なノウハウも詰め込みました。

メカに詳しくない方でも安心して読み進められるよう、できるだけ分かりやすい言葉で解説していきますので、ぜひ最後までお付き合いください。

本記事のポイント
  • ハーレー特有の左右独立ウインカースイッチの仕組みとモジュールの役割
  • LED化で発生するハイフラ現象の原因と正しい対処法
  • ウインカーが点かないなどの故障診断プロセスと旧車の注意点
  • 操作性を良くするエクステンション活用法や移設の車検ルール
目次

故障診断!ハーレーのウインカースイッチ

ハーレーに乗っていて「あれ?ウインカーがおかしいな」と感じたとき、焦らずに対処するためには、まずその特殊な仕組みを知っておくことが大切です。ここでは、基本的なスイッチの配置から、よくあるトラブルの原因となるモジュールやハイフラ現象について、詳しく見ていきましょう。

バイクのウインカースイッチはどこ?

皆さんもご存知の通り、一般的な国産バイクや多くの輸入車では、ウインカースイッチは左側のハンドルバースイッチボックスに集約されていますよね。プッシュキャンセル式で、親指一本で左右の指示が出せるのが「世界標準」と言えるでしょう。

しかし、ハーレーダビッドソンは独自の「左右独立型」を採用し続けています。具体的には、右ウインカーのスイッチは右ハンドルに、左ウインカーのスイッチは左ハンドルに配置されています。「右に曲がるなら右手、左なら左手」という、ある意味で非常に直感的な設計思想なんですね。

世界標準の左側集中スイッチと、ハーレー独自の左右独立スイッチの違いを比較した図解。オートキャンセル機能の解説付き。

ただ、これには構造的なジレンマもあります。右手のスイッチを押すためには、スロットル(アクセル)操作をしている右手の親指を使わなければなりません。特にブレーキングとシフトダウンを行いながらの右折時など、右手の操作が忙しい場面でスイッチ操作が求められるため、慣れるまではギクシャクしてしまうこともあります。

この左右独立スイッチの設計思想は、ハーレーの歴史の初期から続く伝統的なもので、特にクラシックなモデルでは、それぞれのスイッチが独立した電気回路を構成していた名残とも言えます。現在では電子制御されていますが、この操作体系こそがハーレーのアイデンティティの一つになっているわけです。

左右独立スイッチとオートキャンセル機能

ハーレーのウインカーシステムは、単に点滅させるだけでなく、オートキャンセル機能が組み込まれています。これは速度パルス、経過時間、そして何よりも重要な「バンク角センサー」のデータに基づいて制御されています。

  • 低速時(約11km/h以下):
    交差点待ちと判断され、ウインカーは消えにくい仕様になっています。
  • 旋回中:
    バンク角センサーが作動し、「曲がっている最中」と判断されるため、点滅のカウントダウンが一時停止します。

このキャンセル機能が「早すぎる」「勝手に消える」と感じる原因の多くは、このバンク角センサーが「緩やかな旋回」を感知しきれず、単なる「走行距離」でキャンセルされてしまう点にあります。この複雑な制御こそが、ハーレーのウインカーに関する技術的な議論の的になるんですね。

最近のモデルでもこの伝統は守られていますが、これがハーレーらしさであると同時に、太いグリップと遠いスイッチ配置が、手が小さめの日本人ライダーにとっては「指が届きにくい」という悩みの一因にもなっています。

ハーレーのウインカーモジュールはどこか?

ウインカーの不調を疑うとき、「スイッチそのものが壊れた」と思いがちですが、実はそれを制御している「脳みそ」であるモジュールの不具合や仕様であることも少なくありません。特に現代のハーレーは、BCM(ボディコントロールモジュール)と呼ばれる高性能なコンピューターが電装系のほとんどを統括しています。

ハーレーのウインカー制御システムは、年式によって大きく3つの世代に分かれており、トラブルシューティングのアプローチが根本的に異なります。自分の愛車がどの世代かを知っておくのは非常に重要です。

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年代(目安)モジュール名称主な役割トラブル時のポイント
~2000年頃TSM
(Turn Signal Module)
ウインカー点滅とオートキャンセル。
バンク角センサーを内蔵。
経年劣化によるコンデンサ容量
抜けが多く、交換は比較的容易。
2001
~2013年頃
TSSM / HFSMセキュリティシステムと統合。
キーフォブとの通信を行う。
モジュール交換時にECMとの
「パスワード学習」が必要で、手順が複雑。
2011/2014年~BCM
(Body Control Module)
CANBUSシステムの中核。
車体全体の電装を統括し、
電子的な遮断機能を持つ。
LED化による電流検知エラー(DTC)が多い。
BCMシンクロナイゼーションが鍵。
ハーレーのウインカーを制御するモジュールの変遷。2000年以前のTSM、2013年頃までのTSSM、2014年以降のBCMの特徴をまとめた図。
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モジュールの搭載位置と診断の重要性

このモジュールがどこにあるかですが、モデルによって異なりますが、多くはシートの下や、サイドカバーの中に格納されています。例えば、スポーツスターならシート下のリアフェンダー上、ダイナやソフテイルの一部ではオイルタンク付近の樹脂カバー内にあることが多いですね。

特にBCMが採用されているモデルでは、スイッチからBCMへはわずかなデジタル信号が送られているだけで、実際に大電流を流してウインカーを点滅させているのはBCMの出力回路です。

したがって、ウインカーが点かないとき、スイッチだけでなく、DTC(診断トラブルコード)を確認して、BCMがどの回路で異常を検知しているかを把握することが、最短での修理に繋がります。

BCMなどの現代的なモジュールは非常に精密な電子部品です。むやみに触ったり、配線を短絡させたりすると、システム全体の故障につながるリスクがあります。診断はメーター操作でDTCを読み出す程度に留め、修理や交換は専門知識を持つプロショップに依頼するのが安全です。

ハーレーのハイフラ現象の原因は?

カスタム好きの方なら一度は耳にしたことがある「ハイフラ(ハイフラッシュ)」。ウインカーのスイッチを入れた途端、「チカチカチカ!」と異常に速いテンポで点滅するあの現象ですね。信号待ちで周囲の視線を集めてしまい、なんだか少し恥ずかしい思いをした経験がある方もいるかもしれません。

このハイフラ、単なる「見た目の変化」だと思っていませんか?実はこれ、バイク側がライダーに対して発している「球切れ警告(Bulb Out Warning)」という重要な安全機能が働いている状態なのです。これを放置しておくと、車検に通らないのはもちろん、最悪の場合はセキュリティシステムやオートキャンセル機能に悪影響を及ぼす可能性もゼロではありません。

電気の消費量が「少なすぎる」ことが原因

ハイフラの直接的な原因の9割以上は、ウインカーバルブを純正の白熱球(ハロゲン)からLEDに交換したことにあります。

これを電気的に少し詳しく見てみましょう。ハーレーの制御モジュール(BCMやTSSM)は、ウインカー回路に流れる「電流(アンペア)」の量を常に監視しています。

  • 純正バルブ(白熱球):
    フィラメントを発光させるため、大きな電流(約21W〜27W相当)を消費します。
  • LEDバルブ:
    半導体で発光するため、非常に効率が良く、ごくわずかな電流(約1W〜3W程度)しか流れません。

ここでオームの法則などが関係してくるわけですが、難しく考える必要はありません。モジュールから見れば、「スイッチを入れたのに、いつもの数分の一しか電気が流れていないぞ? これはフィラメントが切れている(断線している)に違いない!」と勘違いをしてしまうのです。その結果、ライダーに「球が切れてますよ!」と知らせるために、わざと点滅速度を倍速にしているわけです。

純正球とLEDの消費電力差により、BCM(ボディコントロールモジュール)が球切れと誤認してハイフラが発生するメカニズムの図解。
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対策1:ロードイコライザーで「電気の浪費」を演出する

LED化による消費電力の差を埋めるために、最も古典的かつ確実な方法は「ロードイコライザー」と呼ばれるパーツを追加することです。

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種類特徴メリット・デメリット
抵抗型
(セラミック抵抗)
配線に割り込ませて、電気を
熱として消費させる単純な構造。
安価ですが、想像以上に高温(100℃以上になることも)になります。
プラスチックのカウルや配線束の近くに設置すると、
溶けるリスクがあります。必ず金属フレームに固定が必要です。
モジュール型電子回路で信号を制御するタイプ。発熱が少なく、オートキャンセル機能との相性も良好です。
取り付けもカプラーオン(差し込むだけ)の製品が多く、
安全性と手軽さを取るならこちらが断然おすすめです。

対策2:BCMの学習機能(シンクロナイゼーション)を活用する

もしあなたのハーレーが2011年以降のソフテイル、2012年以降のダイナ、2014年以降のスポーツスターやツーリングモデル(いわゆるCANBUS採用モデル)であれば、高価なパーツを買わなくても解決できる可能性があります。

最新のBCM(ボディコントロールモジュール)には、「今の電流値を正常として覚え直す」という学習機能が備わっているからです。これを「BCMシンクロナイゼーション」や「ハザード学習」と呼びます。

BCM学習の手順(一般的な例)
  1. 準備:
    イグニッションスイッチをONにする(エンジンはかけなくてOK)。
  2. 入力:
    ハンドルのハザードスイッチを押し、前後左右4つのウインカーを点滅させる。
  3. 待機開始:
    ハザードを点滅させたまま、イグニッションスイッチをOFFにする。
  4. 学習:
    この状態で約2分〜5分間放置する。この間にBCMが微弱電流を計測し、新しい基準値として記憶します。
  5. 確認:
    再度イグニッションをONにし、ハザードをOFFにしてから、左右のウインカーを操作して正常な速度に戻っているか確認する。

注意点: 消費電力が極端に低い激安LEDバルブなどの場合、BCMが設定できる「最低電流値」すら下回ってしまい、学習させてもハイフラが直らないことがあります。

また、メーター内のインジケーターだけがハイフラを起こし、実際のウインカーは正常というパターンもあります。これらが解消しない場合は、やはりCANBUS対応のロードイコライザーが必要になります。

ハイフラを解消するための2つの方法。抵抗器(ロードイコライザー)を使用する場合と、BCMのハザード学習機能を使用する場合の比較解説。
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よくあるウインカースイッチの故障事例

ウインカーがつかない原因となる「バルブ切れ」「接点腐食」「配線トラブル」の3大要素を示したイラスト。
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「ハーレーのスイッチは壊れやすい」というイメージを持つ人もいますが、実際にはスイッチ本体の故障は少なく、多くのトラブルは周辺の電気系統や配線の問題に起因しています。ただし、スイッチの機構自体が原因となる事例もあります。

症状1:特定の方向だけウインカーが点滅しない

これは最も一般的な故障形態です。スイッチを押しても特定の側のウインカーだけ反応しない場合、まず疑うべきは以下の点です。

  • バルブのフィラメント断線:
    ハーレー特有の強い振動は、バルブのフィラメントに大きなストレスを与えます。目視で切れていなくても、接触不良を起こしている可能性があります。
  • ソケット内部の腐食:
    洗車や雨天走行で水分が侵入し、ソケット内の金属接点が青錆び(緑青)を吹いていることがあります。これにより抵抗値が増大し、電気が流れなくなるか、BCMが断線と誤検知します。
  • 配線の断線・ショート:
    特にリアウインカーは、振動やフェンダー裏での干渉により、配線の被覆が剥けてショートしたり、完全に断線したりすることがあります。

症状2:スイッチを押しても反応が鈍い・接触不良

力を入れて深く押し込まないと反応しない、あるいは点滅し始めても手を離すとすぐに消えてしまうといった症状は、スイッチハウジング内部の問題です。

  • 接点の摩耗または異物混入:
    スイッチ内部の可動接点に埃や水分が入り込み、接触不良を起こしています。古いモデルでは接点自体が物理的に摩耗していることもあります。
  • デジタル入力の不具合:
    現代のモデルでは、スイッチがBCMに送るデジタル信号(5Vなどの微弱な電圧)が、接点不良によって不安定になることで、BCMが信号を認識できないケースもあります。

症状が点滅不良や点灯不良の場合、最新のBCM搭載車では、故障箇所を特定するDTC(診断トラブルコード)がメーターに表示されていることが多いです。例えば「B2141(Left Front Turn Signal Output Open)」など、コードの内容を検索すれば、故障箇所をピンポイントで特定できるため、必ず確認することをおすすめします。

ショベルなど旧車スイッチの注意点

もしあなたがショベルヘッドやエボリューションといった、1990年代以前の「旧車」と呼ばれるモデルに乗っている、あるいはこれから乗りたいと思っているなら、ウインカースイッチに対する考え方を少し変える必要があります。これらの車両は、現代のバイクとは電気的な構造が根本的に異なります。

現代のハーレーにおいて、ウインカースイッチはコンピューター(BCMなど)に微弱な信号を送るだけの「入力装置」に過ぎません。しかし、旧車のスイッチは、ヘッドライトやウインカーを作動させるための大電流が直接流れる「接点そのもの」である場合が多いのです。

物理的な劣化とアース不良の罠

旧車のスイッチは、電流を物理的に遮断・接続するアナログな構造をしているため、長年の使用で接点がスパークによって焼けたり、摩耗したりします。また、内部のスプリングや可動部が錆びて破損することも珍しくありません。

「スイッチを押したときのクリック感がなくなり、グニャッとしている」「何度もカチカチしないと点かない」といった症状は、スイッチ本体の寿命を示唆しています。

さらに、旧車メンテナンスで最も厄介なのが「アース不良」です。多くの旧車モデルでは、スイッチハウジングがハンドルバーに物理的に接触することで、ボディアース(マイナス極)を取る構造になっています。そのため、以下のようなカスタムを行った後にトラブルが頻発します。

  • ハンドルの交換・塗装:
    ハンドルを黒い粉体塗装(パウダーコート)されたものに交換した場合、塗膜が絶縁体となり、電気が流れなくなります。塗装を一部剥がして通電させる加工が必須です。
  • ラバーマウントの劣化:
    エンジンやフレームの振動対策ゴムが劣化し、アースラインが不安定になることで、ウインカーが不規則に点滅しなくなることがあります。

旧車の電気系トラブルは、スイッチそのものよりも「電気が正しく流れる環境」が損なわれていることが多いです。接点復活剤での清掃や、アース線の増設(アーシング)を行うことで劇的に改善する場合もあります。

ハーレーのウインカースイッチの交換術

故障したときの修理はもちろんですが、「もっと操作しやすくしたい!」「見た目をカッコよくしたい!」というのもハーレー乗りの本音ですよね。後半では、スイッチ周りのカスタムや交換について深掘りしていきましょう。

こだわりの純正スイッチの特徴

カスタムパーツも魅力的ですが、改めてハーレー純正のスイッチを見てみると、その品質の高さに気づかされます。純正部品は単なる消耗品ではなく、メーカーが設計思想を込めて作り上げた「作品」の一部だからです。

純正スイッチの最大の特徴は、「確実な操作感」と「圧倒的な耐久性」です。ハーレーのスイッチは、分厚い冬用グローブをしていても、指先でしっかりと「クリック感」を感じ取れるように設計されています。これは、走行中の振動や騒音の中でも、ライダーが確実に操作できたことを認識できるようにするための安全設計の一つです。

また、素材の耐久性も特筆すべき点です。紫外線によるプラスチックの劣化や、雨風による金属腐食に対して、純正品は非常に強い耐性を持っています。安価な社外品の中には、数年で表面が白く粉を吹いたり、スイッチの文字が消えてしまったりするものもありますが、純正品は何十年経ってもその機能を維持し続けることが多いのです。

純正アクセサリーでのアップグレード

最近では、標準装備のスイッチだけでなく、「ライト付きハンドコントロールスイッチ」のような純正アクセサリーも販売されています。

これは、夜間走行時にスイッチのアイコン自体が内部からLEDで発光する仕様になっており、視認性と高級感を同時に高めることができます。「純正の信頼性を保ちながら、機能性を向上させたい」という方には、こうした純正オプションパーツへの交換が最も満足度の高い選択肢となるでしょう。

操作性を改善するエクステンション

私たち日本人ライダーにとって、ハーレーに乗る上での最大の物理的な壁、それは「ウインカースイッチが遠い」ことではないでしょうか。欧米人の大きな手に合わせて設計されたスイッチ配置は、平均的な日本人の手には少し厳しく、グリップをしっかり握ったままだと親指が届かないことが多々あります。

無理に指を伸ばそうとすると、スロットル操作をしている掌が浮いてしまい、アクセルワークが不安定になったり、最悪の場合は誤ってアクセルを回してしまったりするリスクもあります。そんな悩みを解決してくれる魔法のアイテムが「ウインカーエクステンション」です。

純正スイッチだと指が届きにくい状態と、エクステンション装着後に無理なく操作できている状態を比較した写真と図解。
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エクステンションの効果
  • 親指の移動距離短縮:
    スイッチボタンがグリップ側に延長されることで、指を大きく伸ばさなくても自然に操作できるようになります。
  • 操作の確実性向上:
    ボタンの面積が広がることで、グローブ越しでもスイッチを捉えやすくなり、押し損じが減ります。
  • 疲労軽減:
    無理な体勢で指を伸ばす必要がなくなるため、長距離ツーリングでの手の疲れが大幅に軽減されます。

特に「右折時のスロットル操作との両立」が劇的に改善されるので、手の小さい方や女性ライダーには必須級のカスタムと言っても過言ではありません。

スイッチを延長して操作性を向上

一口にエクステンションと言っても、市場には様々な形状や取り付け方法の製品が存在します。自分のライディングスタイルや技術レベルに合わせて最適なものを選ぶことが重要です。

形状による違い:フラット型とパドル型

キジマやデイトナといった国内メーカーからは、日本人の手のサイズや指の動きを研究し尽くした製品が多く販売されています。

おすすめは、スイッチ面が単純に長くなるだけでなく、親指の腹にフィットするように湾曲している「パドル形状」のものです。これらは単に「延長」するだけでなく、テコの原理を利用して「より軽い力でスイッチを押し込める」ような工夫も凝らされています。

取り付け方法:貼り付けタイプと交換タイプ

取り付けの難易度も製品によって大きく異なります。

  • 貼り付けタイプ:
    強力な両面テープで、純正のスイッチボタンの上に被せるだけの簡易タイプです。工具不要で誰でも数分で取り付けられる手軽さが魅力ですが、長期間の使用で剥がれるリスクや、操作感が若干フワフワする場合もあります。まずは操作感を試してみたい初心者におすすめです。
  • 交換タイプ:
    純正のスイッチボタン(キャップ)を取り外し、エクステンション機能付きのキャップに交換する本格的なタイプです。スイッチハウジングを分解する必要があるため難易度は高いですが、操作感はカチッとしており、見た目も純正のように自然です。本格的に操作性を改善したいならこちらが本命です。

カスタム時のウインカー移設ルール

ハンドル交換やサドルバッグの取り付け、あるいは「チョッパースタイル」へのカスタムに伴って、ウインカーの位置自体を変える「移設」を行うこともありますよね。

フロントウインカーをフレームダウンチューブに移設したり、リアウインカーをナンバープレート横に移設したりすると、車体全体のシルエットがスッキリして非常にクールになります。

しかし、ここで絶対に無視できないのが日本の保安基準(車検ルール)です。見た目だけで判断して安易に移設すると、車検に通らないばかりか、警察に整備不良として摘発されるリスクもあります。

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項目主な基準(日本国内)よくあるNG例
取り付け位置
(前方)
左右のランプの中心間隔が
300mm以上(年式により250mm)。
照明部の最内縁が240mm以上。
フォークに密着させすぎて
左右の間隔が狭すぎる。
取り付け位置
(後方)
左右のランプの
中心間隔が150mm以上。
テールランプと一体化させた際、
左右の明確な区分がない。
面積照明部の有効面積が
7平方センチメートル以上。
極小LEDウインカーで、
「Eマーク(協定規則適合品)」が
ないものを使用している。
視認性昼間に100mの位置から
点灯が確認できること。
サドルバッグで隠れて斜め後ろから見えない。
スモークレンズが濃すぎて暗い。
バイクのフロント・リアにおけるウインカーの取り付け位置ルール。フロント300mm以上、リア150mm以上などの寸法を示した図。
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出典:国土交通省
道路運送車両の保安基準(第41条 方向指示器)

せっかくカッコよく移設しても、公道を走れなければ意味がありません。移設キットや小型ウインカーを選ぶ際は、「車検対応」「Eマーク取得済み」と明記されているものを選ぶのが鉄則です。

また、配線処理においても、安易な「ねじり接続」は走行振動で解けたり発熱したりする原因になるため、専用の圧着端子や防水カプラーを使用し、プロ並みの確実な施工が求められます。

自分で行うスイッチの交換方法

最後に、DIYでスイッチキャップやスイッチ本体を交換しようと考えている方へ、少し技術的なアドバイスを。スイッチハウジング(スイッチが収まっている金属の箱)を開ける作業は、見た目以上にデリケートで、実は意外と難易度が高い作業の一つです。

最大の難所は「配線の噛み込み」

ハーレーのハンドル周りの配線は非常にタイトに設計されています。スイッチハウジングを閉じる際、数本の太い配線を狭いスペースに綺麗に収める必要があるのですが、ここで無理にネジを締め込んで配線を金属カバーで挟んでしまい、被覆が破れてショートさせてしまうトラブルが後を絶ちません。

スイッチハウジングを組み立てる際、配線が挟まって断線・ショートしてしまう危険な状態を示した警告イラスト。
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メインヒューズが飛ぶだけで済めば良いですが、最悪の場合、メインハーネスを燃やしてしまったり、高価なBCMを破損させたりすることもあります。

DIYに挑戦する際の手順と注意点は以下の通りです。

  1. メインヒューズを必ず抜く:
    作業中のショート事故を防ぐための絶対条件です。バッテリーのマイナス端子を外すことでも代用できます。
  2. スイッチハウジングを開ける:
    固定ネジ(トルクスネジが多いです)を緩めてカバーを開けます。このとき、小さなネジや内部の金具を落下させないよう注意してください。
  3. スイッチキャップの交換:
    エクステンションなどに交換する場合、純正キャップを外す必要がありますが、これが結構コツがいります。専用の隙間から細いマイナスドライバーなどを差し込んでツメを外すのですが、力を入れすぎるとスイッチ本体を壊してしまうので慎重に。
  4. 配線の整線と復元:
    最も重要な工程です。配線が噛み込まないルートを確認しながら、慎重にカバーを閉じます。無理な抵抗を感じたら、決して力任せに締め込まず、もう一度開けて配線位置を調整してください。

特にCANBUSモデルの場合、配線トラブルがBCMの破損に繋がると、修理費が数万円〜十数万円と高額になることもあります。自信がない場合や、専用工具(トルクスレンチなど)を持っていない場合は、無理せずプロショップに作業を依頼することを強くおすすめします。

ハーレーのウインカースイッチを総まとめ

今回は、ハーレー独特のウインカースイッチについて、その仕組みから故障診断、そして操作性を向上させるカスタムまで幅広く解説しました。

「左右独立スイッチ」は最初は扱いづらいと感じるかもしれませんが、その背景にある設計思想や仕組みを理解すれば、ハーレーというバイクの個性をより深く味わうことができるはずです。

また、エクステンションによる延長や、LED化に伴う電気的な対策など、正しい知識を持って接することで、自分だけの快適な操作環境を作り出すことも可能です。

ハイフラや点灯不良といったトラブルも、原因さえ分かれば決して怖いものではありません。ぜひこの記事を参考に、あなたの愛車のウインカー環境を見直して、より安全で快適なハーレーライフを送ってくださいね。あなたのハーレーライフが、これからも輝き続けることを願っています。

※本記事の情報は一般的な事例に基づくものです。年式やモデルによって仕様が異なる場合がありますので、正確な整備情報はサービスマニュアルを参照するか、お近くのプロショップへご相談ください。

ハーレーのウインカースイッチを総まとめ
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運用者プロフィール

バイク歴10年。 愛車はハーレー。「カタログよりもリアルな情報を」をモットーに、維持費の実態から故障トラブル、カスタムの楽しみ方まで、オーナーの実体験に基づいたノウハウを発信しています。 初心者の方が後悔しないバイクライフを送れるよう、全力でサポートします!

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